映画化もされた人気シリーズ「横道世之介」が、今年5月発売の『永遠と横道世之介』(上・下巻、毎日新聞出版)で完結した。本作でも主人公の世之介は、とにかくマイペースでお人好し。「この世で一番大切なのはリラックスしていることですよ」という名セリフまで残している。この「愛されキャラ」は、どこから生まれたのか。作者である吉田修一さんに聞いた――。
吉田修一さん
撮影=西田香織
長崎県生まれ。1997年に『最後の息子』で文学界新人賞を受賞し、デビュー。『パレード』『悪人』『怒り』など多くの作品が映像化されている

毎日、無意識に見てしまうネットニュース

――吉田さんは普段、ネットでニュースをご覧になりますか。

吉田修一『永遠と横道世之介 上』(毎日新聞出版)
吉田修一『永遠と横道世之介 上』(毎日新聞出版)

前もってお伝えしておきたいのですが、僕は同世代の中でもかなりIT系に弱いほうなので、相当とんちんかんなことを言うと思います。スマホはもちろん持っているので、Yahoo!ニュースに出てくる記事とかは毎日読みますよ。最初の画面から下に下がっていくと、いっぱい出てくるじゃないですか。その中で気になった記事はわりと見ます。

――それは小説を書く情報収集のためですか。

いや、クセですかね。あまり意識せず、なんとなく見ちゃっていますね。気になったニュースを見ると、関連記事がどんどん出てくるじゃないですか。それをどんどん見ていくという感じです。自分から情報を取りに行っているのではなくて、流されているというか、踊らされているというか……。

新聞で連載をしているので新聞も読むし、雑誌もたくさん送っていただけるので、気になった記事は読みます。同じように、スマホがあればスマホのニュースも見るし、という感じです。

「時代遅れになっていることに気づいていないのかも」

――だれもがネットでニュースを読む時代になって、読者との接点に変化を感じることはありますか。

吉田修一『永遠と横道世之介 下』(毎日新聞出版)
吉田修一『永遠と横道世之介 下』(毎日新聞出版)

僕の場合はまだまだアナログというか、いまも新聞や雑誌で書いているので、読者との接点というテーマは、あまり考えたことがないですね。自分が時代遅れになっていることに気づいていないだけかもしれないし、もしかしたら保護されて、甘やかされているのかもしれませんが。

ありがたいことに作家としては順調に来ているので、自分が書きたいものを、書きたいときに、書きたいように書くというスタンスだけでやってきて、それが運よく時代にハマってきたんですね。ハマるということは、きっと僕と同じようなことを考えている人が少なくとも何万人かはいて、その人たちと一緒にずっと来ているのだろうし、若い人たちの中にもハマってくれる人がいるのかなという気がします。