ネットフリックスで配信中の恋愛リアリティ番組『あいの里』が注目を集めている。35歳から60歳の男女8人が「人生最後の恋」を求めて共同生活に挑戦する。そんなコンテンツがなぜ受けているのか。テレビ業界ジャーナリストの長谷川朋子さんは「あるようでなかった中年による中年のためのコンテンツは実は海外でも注目され始めている」という――。
35歳から60歳の男女8人が「人生最後の恋」を求めて共同生活に挑戦する
写真=Netflixリアリティシリーズ「あいの里」独占配信中
35歳から60歳の男女8人が「人生最後の恋」を求めて共同生活に挑戦する

支持を受ける「ありのまま」の中年コンテンツ

恋愛リアリティ番組と言えば、キラキラ感が当たり前のはずだったが、Netflixシリーズ『あいの里』はそんなイメージを覆す。参加者全員が35歳以上。60歳の男女も主役になって、ギラギラした中年たちの恋愛を映し出す斬新さがある。

いわゆる中年コンテンツなのだ。広く括れば、中年がフォーカスされることは決して珍しいわけではない。「中年の星」と表現されるスポーツ選手がいれば、「名バイプレイヤー」と称してベテラン俳優ブームが過去に起こったりもした。

だが、ここにきて、中年コンテンツに変化がみられる。達人級の中年ばかりでなく、身近さ溢れたおじさんやおばさん感をさらけ出す中年たちがもてはやされている。『M-1グランプリ2021』で優勝したお笑いコンビの錦鯉はまさにそう。新しく始まった結成16年以上のコンビが競うお笑い賞レース『THE SECOND~漫才トーナメント~』の初代王者のギャロップもしかりだ。

ありのままの中年コンテンツは、お笑いに限らない。ラジオパーソナリティでコラムニストのジェーン・スーと元TBSアナウンサー堀井美香によるポッドキャスト番組『OVER THE SUN』にも当てはまる。赤裸々に中年あるある話を繰り広げ、「互助会」と呼ぶリスナーから熱い支持を得ている。

メンバーには正真正銘の中年たちが揃う

この地で行く中年コンテンツの流れに乗っているのが『あいの里』なのである。最大限のインパクトを狙ってか、男女8人の初期メンバーに至っては酸いも甘いも知るような正真正銘の中年たちが揃う。これまでの恋愛リアリティ番組とのギャップを感じて、彼ら彼女らの初登場シーンに軽く衝撃を受けるほどだ。

5月2日から全世界配信が開始され、最終話のエピソード18が更新された5月30日以降も、Netflix公式の日本の「今日の総合TOP10」入りを続けて、数字上の実績は上々だ。注目すべきは、ランキングの順位は最終話に向かうにつれて上がっていき、単日で最高1位、ウィークリー平均で最高2位まで上昇したことにある。中身の面白さがあったからこそ、評判が評判を呼んだと言えそうだ。