東証二部上場以上のいわゆる大手企業の場合、会社都合退職を求めればおおむね認められることが多い。資金力がある企業の場合、とにかく穏便に辞めてもらうことが最優先だからだ。
ところが中小企業は、会社都合退職者が多くなると、求人関連の助成金が出なくなる、ハローワークの求人を回してもらえなくなるなどの理由から、自己都合退職に誘導しようとする傾向がある。その場合も泣き寝入りは禁物だ。
01年の雇用保険法改正により、離職の直前3カ月に連続して月45時間を超える時間外労働が行われた、10年以上同じ職種についていたのに十分な教育訓練もなく配転させられた、上司や同僚から嫌がらせを受けたなどの事実がハローワークで認められれば、会社都合による退職と認定される。ただ、タイムカードのコピーなど証拠を退職前に集めておかないと実証は難しい。
一度退職届を出しても、最終的に離職理由を判断するのはハローワークであり、決定的な判断材料にはならない。万が一、会社に迫られて出してしまってもあきらめることはない。退職後10日以内に、会社から離職票が送られてくる。その離職票の「離職理由」欄で、「労働者の判断によるもの」にチェックがあり、「具体的事情記載欄」に「自己都合」と書かれていれば、「離職者本人の判断」欄で、「異議有り」に○をつければよい。もし会社との対立を避けるため、「異議無し」で提出しても、最初にハローワークに行った際に最終的な意思確認が行われる。ここで証拠とともに異議ありと主張すれば、逆転の可能性は残っている。
(プレジデント編集部=構成)