グーグル、アマゾンの株価は20%以上も下がった
実際にGAFAM各社の年間売上高を見ると、22年度の売上高はグーグルが前年比112%、アップルが同じく前年比108%、マイクロソフトが118%、メタに至っては前年比99%とマイナスになっているのです。
この成長率の鈍化は、もちろん株価にも影響が出てきます。22年にはグーグルやアマゾンの株価は20%以上も下がったといわれています。株価の下落と成長率の低下、そして業績の低迷によって、GAFAMはまさに冬の時代に突入しようとしている、と推測されているのです。
もちろん、ドル高の影響やコロナ禍による広告費の減少といった要因も無視できません。実際の数値以上に業績の悪化が懸念され、さらにそれが株価の下落にも結びついていきます。
GAFAMは、グーグルの検索プラットフォームや、アップルのハードウェア向けのアプリやコンテンツのプラットフォーム、アマゾンのネットショップのプラットフォームなど、いずれも独自のプラットフォームを展開することで、大きな利益を上げてきました。
ところが20年代になってメタバースやAIといった新たな技術やサービスが出現し、これらのプラットフォームを作り出すようなテック企業も出現してきました。これらの新しいプラットフォームの台頭、さらにスマホアプリの配布や販売に対する公正取引委員会による規制強化、そして人材不足や企業文化の変化といった複数の要因により、巨大になり過ぎた恐竜がやがて絶滅したように、GAFAMもまた冬の時代に突入し、やがて解体・衰退していくのではないか、それがコロナブーメラン効果後の懸念として出てきているのです。
「ある日突然、社員証が無効に」
GAFAMが衰退し始めているのではないかという懸念は、従業員の大幅解雇という動きにも見られます。
グーグルは23年1月、全世界で1万2千人を解雇すると発表して大きな話題となりました。「2週間以内に退職を決めた場合、退職金を増額する」などと書かれたメールが一部の社員に届き、ある日突然、社員証が無効になって会社にすら入れなくなった、などという話がまことしやかに流れていました。日本ではとうてい考えられない状況ですが、日本のグーグルの合同会社でもメール1通で解雇といった、似たような状況が訪れる可能性も高いようです。
アマゾンでは1万8千人の従業員を解雇する計画が発表され、23年1月には影響を受ける従業員に通知するとアンディ・ジャシーCEOが発表しています。さらに3月には、人事、広告などを中心にさらに9千人のレイオフを発表しています。
もともとアマゾンでは、19年末に79万8千人の従業員がいましたが、コロナ禍でオンラインサービスの需要が急増し、これに対応するために人員を増やした結果、21年末には160万人とほぼ倍増していました。22年から23年にかけての大規模なレイオフは、こうして膨れ上がった人員を整理し、アマゾンをスリム化するために必要な措置なのでしょう。
メタでは22年11月に、従業員の13%に相当する1万1千人の削減を実施し、さらに年が明けた1月にも新たに1万人を削減すると発表。この2回の削減で、なんと2万人以上もの解雇となる見通しです(図表3)。