非政府組織「インスティテュート・フォー・ヨーロピアン・インテグリティ」の上級調査研究員オルガ・ロートマンは、「これが事実かどうかに関係なく、プリゴジンに残された日々がこれまでよりもずっと短くなったのは確かだ」と述べた。「彼は(戦闘で負け続けた)昨秋から既に死んだも同然だった。今後、彼が亡命するかどうかが興味深いところだ」

ウクライナメディア「ニュー・ボイス・オブ・ウクライナ」に寄稿しているジャーナリストのユアン・マクドナルドは、次のようにツイートした。「プリゴジンに関するこの情報リークの最も重要なところは、今や彼が反逆者のように見えることだ。国家に対する反逆行為は、プーチンが何より嫌うところだ」

米シンクタンク「外交政策研究所」で政治リスクの分析を行っているアンドラス・トスジフラはツイッターにこう投稿した。「かなり割り引いて聞いたとしても、まったくのでたらめには聞こえない。プリゴジンはよほど自らの有用性をアピールし続ける必要があるだろう」

プーチンは知っていた?

英シンクタンク「王立統合軍事研究所」のアソシエートフェローであるサムエル・ラマニは、プリゴジン「反逆」の情報をめぐって関係者は「興奮状態」だが、「額面どおりに受け取ってはいけない」とツイートした。

「戦時において交戦中の当事者同士が連絡を取り合うことについては、前例がない訳ではない」と書き込み、さらにこう続けた。「それにプリゴジンの脱線にはいつも、皮肉が込められている」

さらに彼は、ウクライナと西側の情報当局はプリゴジンの申し出が「誠実なものではなかった可能性」があると考えており、ウクライナの情報当局は、「プリゴジンがバフムトを売ろうと持ちかけたことはロシア大統領府も知っていることに気づいていた」ともつけ加えた。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
【関連記事】
元海自特殊部隊員が語る「中国が尖閣諸島に手を出せない理由」
プーチンの焦りでロシア特殊部隊が"ほぼ全滅"…米紙が報じた「ソ連のターミネーター」の末路
これ以上戦争が長引けばロシアは解体を余儀なくされる…プーチンの最側近が「停戦」を訴え始めたワケ
5月下旬からロシアの爆撃機が大量飛来か…米国政府の機密文書が予想する「プーチンの戦争」の悲劇的結末
ロシアは負けそうになったら核兵器を使う…それでも「ハルキウの敗北」でプーチンが核を使わなかった理由