いまやリストラは50代だけの話ではない。40代、30代にも矛先が向いている。ビジネスマン生活もハイリスクな時代を迎えた。どうしたら危機を突破していけるのか──。年代別にシナリオを描いていく。
人事コンサルタント
深田和範

1962年生まれ。上場企業の人事部長などを経て、現在、人事コンサルタントとして、組織再生に関わるコンサルティングに従事する。

深田和範氏 出世競争で出遅れを実感するのは35歳前後から。一般的に、この年齢に達すると同期入社のトップクラスが管理職に登用されます。そして、この“第一次選抜”に漏れると、その後の昇進・昇格は遅れ気味になります。

では、出遅れの要因はどこにあるのでしょうか。もちろん、本人の能力や努力不足もあるでしょう。けれども、最近では管理職候補者の数に対してポストの数が少ないことも見過ごせません。当然、競争は厳しくなり、かつてより早めに差がついてしまうのです。

それ以外にも、所属している部門の上司の発言力が決め手になることもあります。上層部や人事に一目置かれている実力派の上司だと、強力な後押しを得られる可能性が高くなります。一方、上司が力不足だとそうはいきません。どうしても人事には運・不運がつきまとってしまいます。

しかも、一度先頭グループから離れると、その遅れを取り戻すことはほぼ不可能になります。というのも、人事側からノーマークにされてしまうからです。翌年の昇進・昇格の考課では入社年次が下の後輩と争うことになります。最近の人事の傾向として若手が優先されがちなのが現状です。

残念ながら、明らかに周回遅れになってしまった場合、そのまま出世競争を続けるか、それとも降りるかを判断する必要があります。

出世競争に乗り続けるなら、何としてもポストをもらうことを最優先にします。もはや、主要な役職はトップクラスの人たちが占めています。そこで、不利なところ、例えば規模を縮小した課や地方出張所のポストでも自ら進んで引き受けましょう。そして、会社や人事部に恩を売っておく。予想外の恩返しがあるかもしれません。