過去最高益を達成できた理由
コロナ禍においてもサーティワンの業績は好調であり、2022年12月期の連結決算では過去最高の売上高220億3800万円を達成した。加えて、20カ月連続で前年同月比の売上高を上回る(2023年4月時点)など、堅調な事業成長を見せているのだ。
「コロナ禍による生活様式の変化を好機と捉えた」と語る若林さんは、売り上げが伸びている要因をこう説明する。
「『2031年に税引き前利益31億円を達成する』という長期経営計画(LRP)に沿って、これまでビジネスに取り組んできました。その中では、デマンド(需要)戦略を基にした新たな市場拡大を図る『ブランドパワーの強化』、お客さまの体験や店舗オペレーションの『デジタル化』、サプライチェーンや本部組織を最適化する『スマート31』、そしてお客さまとの接点を増やすための『販売拠点拡大』という4つの柱を主軸に据えており、これらが相乗効果をもたらしたことで、過去最高の収益に結びついたと考えています」
前年比268%のヒットになった商品
コロナ禍で巣ごもり消費が高まったことで、フードのテイクアウトやデリバリー市場が拡大したわけだが、サーティワンも「コロナ前からテイクアウト商品の強化を考えていた」と若林さんは振り返る。
「コロナ前と比べて、テイクアウト商品の『バラエティボックス』は268%の売り上げ増となりました。これは2021年4月に『バラエティパック』からリニューアルしたことが大きく影響しています。商品の個数のバリエーションが増えたほか、今まで専用のパックに詰めていたのを、1個ずつカップに小分けしたボックスタイプに変更したことで、お皿に取り分ける手間を省くことができました。こうすることで、お客さまは個別のカップでアイスクリームを食べられるようになり、冷凍庫で保存しやすくなったんです」
こうしたパッケージングのイノベーションはもとより、ポケモンやサンリオといった人気キャラクターとコラボした「アイスクリームケーキ」も、ハレの日需要を捉えて販売数が伸びているという。
「ファミリー層を中心にしたテイクアウトニーズを「バラエティボックス』や『アイスクリームケーキ』によって取り組めたことが、既存店1店舗当たりの年間平均売上高においても、過去最高を達成できたと考えています」