いつまでも脳を若々しく保つにはどうすればいいのか。医師の和田秀樹さんは「前頭葉を刺激することが重要だ。私は週5回ラーメン屋に行くが、そのうち3回ぐらいは知らない店に行くようにしている。それも前頭葉を刺激するためだ」という――。(第1回)

※本稿は、和田秀樹『不老脳』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

ラーメン
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私が週に4、5回ラーメン屋に行く脳科学的理由

わたしはラーメンが好きで週に4、5回ラーメン屋に行くと言うと「そんなに行くんですか」と驚かれるのですが、はい、行っております。

それはともかく、週に4、5回ラーメン屋に行くうち3回ぐらいは知らない店に行くようにしています。行ったことのない店に行って美味しいかまずいか試してみて、まずかったら「実験は失敗だった」と思えばいいと思っているのですね。

「0勝5敗だった」とか「3勝2敗だった」とか脳内で星取り表をつけるだけでも充分刺激になる。

前頭葉は「新たな発見」を求めています。これから高齢者が増えていく中で、どうやって老後を過ごすのかということをよく聞かれたりしますが、そういう時は「生きることを実験だと思えばいい」と申し上げることにしていて、生きることが実験だと思えれば、失敗はさほど怖れる必要がありません。

上手くいかなければまた別な実験をすればいいという考え方ができるでしょう。ある店で醤油ラーメンはダメでも、塩ラーメンはいけるかもしれません。トッピングを変えてみてもいいかもしれない。

食べたことのないメニューに当たりがあるかもしれませんし、「挑戦」というにはあまりにささやかかもしれませんが、それでも前頭葉を働かせることは出来る。少なくとも退屈はしなくてすむのではないでしょうか。

パチンコは×、競馬と麻雀は○

ここではっきりと申し上げておきますが、脳にとって「退屈は敵」です。刺激がない状態に置かれた脳は衰えていきます。

使われなくなった脳内のネットワークは失われてしまいます。刺激の反対語こそ「退屈」ではないでしょうか。

ギャンブルは前頭葉機能が落ちた中高年や初老のあたりで始めると依存症になるリスクが高いので、毎日やれてしまうネットカジノやパチンコはお勧めしません。が、ドーパミンを得やすいという意味では刺激になりますから、週2日程度しか開催しない中央競馬や、面子メンツを集めてやる麻雀などは脳の活性化という面でよいと思うのです。

あるいは少額投資なども前頭葉を鍛えるにはいいでしょう。どんな趣味でもそうですが、「病膏肓こうこうに入る」とか「身上を潰す」といった状態にならずにすむ範囲であれば、わたしはギャンブルだって「実験的生き方」としてよいのではないかと思っています。

今から20年ほど前、当時ユニクロ会長だった柳井正さんが『一勝九敗』という本を著してベストセラーとなったことがありましたが、「損をしても潰れない」「次の実験ができる程度に実験をする」というスタンスであれば勝率より大きな勝ちを目指してよいと思うのです。