カナダ人の成人の2割は「金魚と同じ集中力」
常に通知が気になり、ソワソワしていたら、生活面でいろいろなパフォーマンスが落ちるであろうことは容易に想像できるでしょう。
とくに、スマホにかかわればかかわるほど、集中力はどんどん落ちていきます。
みなさんは、「スマホを見ているときは集中している」と思っているかもしれませんね。しかし、スマホを見ながらも、結局はアプリのスイッチングを頻繁に行っており、まったく集中できていないのです。
カナダのマイクロソフトが2015年に調査した結果によれば、カナダ人の成人のうち2割が、わずか10秒しか集中できず、「金魚などと同レベルの集中力」であることがあきらかになりました。マイクロソフトは、そのおもな原因をICT(情報通信技術)やソーシャルメディアの活用によるものと結論づけました。
しかしこれは「ICTやソーシャルメディアと適度な距離を置こう」といった啓発のために発表されたものではありません。恐ろしいことに、マーケティング戦略向けのプロモーションに使用されたデータなのです。要するに、「現代人は集中力がないので、ネット広告は10秒以内でつくりましょう」と企業などに指南しているわけです。まったく「不都合な真実」と言わざるを得ません。
気が散って集中力がなくなると、ひとつのことにじっくり取り組む忍耐力がなくなります。その結果、学校の授業や人の話をじっと聞いていられないといった行動があらわれます。
「倍速で動画を見る人」は等速で見るだけの集中力がない
最近は、時間の節約と称して動画の倍速視聴をされる方もいるようですが、じつはこれも集中力が衰えているサインです。
「等速ではダラダラして見ていられない」「倍速のほうが集中できる」という人は、倍速にしないと集中できないほど、集中力が落ちていると思ってください。
心理学的にみると、動画を倍速で見るという行為自体には大きな問題は起こりません。ただし、見たコンテンツはほぼ記憶に残らず、倍速で見るくらいなら見ないで別のことをしたほうがましです。要は、時間の節約ではなく、時間の無駄です。
新型コロナウイルス感染症の流行以降、大学でもビデオ講義が増えました。それを倍速で見ている学生もいると聞くと、やるせない気持ちになります。それで「効率よく勉強している」とでも思っているのでしょうか?
また、最近は「本の要約動画」なども流行っているようですね。しかし、本を読まずに、要約した動画を見るなんてことも、胸を張って言わないほうがいいでしょう。「活字を読むのがつらい。でも動画やテレビなら見られる」って、それは2歳、3歳の幼児と同じということですよ。