そう遠くないうちに、何らかの合意が行われるのではないかと思います。2023年4月中旬時点では、日本国内からもロシアへの投資には規制がありますが、規制が解除されれば、どちらか、あるいは両方が投資先として適しているかもしれません。

投資家、ロジャーズホールディングス会長 ジム・ロジャーズ氏
投資家、ロジャーズホールディングス会長 ジム・ロジャーズ氏(Luxpho Pte Ltd(原 隆夫)=撮影)

そして、新型コロナウイルス感染症に関しては、最も被害を受けたのは中国でしょう。日本も大きな打撃を受けましたが、日本よりも厳しく規制されていたのは中国です。しかし、最近は中国も日本も、世界中のあらゆる場所が国境を開きつつあります。この傾向が続くことを望んでいます。

もし私が投資先を探しているのなら、投資家が今注目すべきなのは、日本か中国のどちらかでしょう。株式市場は最高値から大きく下落しているからです。

株以外にも、インフレのときに、農作物のコメや銀などに投資をすれば、大儲けできるかもしれません。しかし、モノを生産する企業は、インフレ時に資源や農作物、貴金属を生産しているサプライヤーを見つけなければなりません。価格が上がるモノを生産している企業は、利益を得ることができるわけです。

とはいえ、インフレは一方的に上がり続けるものではありません。経済には浮き沈みのサイクルがあり、いったん下がってから再び上昇するのが一般的です。インフレだからといって、綿花の値段が毎日上がると思わないでください。市場の仕組みはそうなっていません。

ウクライナ産の穀物輸出の再開をめぐって、ロシアとウクライナの協議が行われていますが、合意が延長されたため、23年の生産量は予想よりも大幅に減少するようです。通常、コモディティ(商品)の資産価格が下がっているときに買うことができれば、儲かる確率が高いものです。私は今のところ買っていませんが、農作物、特に穀物はとても良い投資先になると思いますね。

ロシア株はウクライナ侵攻で大暴落

銀行連続破綻とアメリカ株

GAFAMは再び高騰する

通常、強気相場でもっともパフォーマンスの高い株は、次の弱気相場では非常に苦しむことになります。アップルやマイクロソフトをはじめGAFAMなどのビッグ・テックの株を買うには素晴らしい機会となるでしょう。

なぜなら、ビッグ・テックの株価は一番下がるからです。今はまだ最終的な弱気相場には入っていないと思いますが、次の強気相場で、これらの株は「ベストバイ」とも言える買い時となるでしょう。

米国のアップルや中国のアリババ、テンセントなどのテック銘柄は、崩れたときに一斉に売られ、調子が良さそうなときに一斉に買われるものなのです。

テクノロジー・バブルは今後も続くでしょう。今、世界のテクノロジー業界では非常に面白くてリアルな変化が起こっています。アメリカやアジアだけでなく、世界中の技術が変化しています。スマートフォンやコンピュータの分野でも、さらなる発明がなされるでしょう。