身体だけでなく、話し方にも老化現象がある

友人と待ち合わせをしたと機嫌よく笑いながら話す父を見て、今度は私が「えっ?」と言う番だった。それからだいぶ経ち、コミュニケーションについて勉強をしているときに、その謎が解けた。話し方にも老化現象があるとわかった。年をとると聴力が落ちて相手の声がよく聞こえないため、知らないうちに声が大きくなる。その当たり前の事実に、あとになって気づいたのだ。

あなたもこれまで、地下鉄やバス、あるいはカフェで、大声で話すおじいさんやおばあさんの声に眉をひそめたことはないだろうか。ここで、“地下鉄で高齢者と若者が衝突する医学的理由”という記事の一部を紹介しよう。

「高齢者の声が以前より大きくなったら、それは聴力が落ちてきている兆候だ。イヤホンをした人に話しかけたとき、思いのほか相手の返事が大きくてびっくりした経験はないだろうか? 耳がよく聞こえないと声が大きくなる。私たちはふだん、自分が出した声を聞き、それに合わせて声のボリュームを調節しているが、聴力が落ちると自分の声が小さく感じられるので大きな声を出すことになる。そのため、普通に話しているつもりが、ときには怒っているように聞こえてしまうのだ。それを聞いた人が気分を害すこともある。ちょっとした指摘のはずが、相手には『この人は何を偉そうに私に怒っているんだ?』と思われてしまう」2013年2月12日付「朝鮮日報」より

身体的機能の低下による「話し方の老化現象」について理解すれば、高齢者の話し方が誤解されることも減るだろう。さらに、私たちの周りにいるすべての人の話し方に対して、聞こえたものだけで判断するのではなく、少し立ち止まって、「相手がなぜこういう話し方をしているのか?」ということまで考えてみよう。

「宿題が終わったよ」に「明日の予習は?」はNG

子どもが母親のもとに意気揚々と走ってきた。

「お母さん、宿題終わったよ!」

あなたがお母さんだったら、どう答えるべきだろう?

①「明日の予習はした?」
②「それで? またどこかに遊びに行くつもり?」
③「じゃあ、そろそろ顔を洗って寝る支度をしてね!」
④「あら、宿題、お疲れさま!」

正解は④。ただ正直なところ、私だったら①を言ってしまうだろう。他人が苦労したことを当たり前のようにみなす話し方、私もついついそういう言い方をしてしまう。じつを言うと私は、この悪い口癖を直すために自分なりの努力をしている。もちろん簡単ではない。