生活が思考であふれ返っている

現代の私たちは、常に頭の中でああしなきゃ、こうしなきゃと考えています。生活そのものが、思考であふれ返っているからこそ、迷うことが多い。

私の作品を見た人から、よく「作品にどんな思いを込めているんですか」と聞かれますが、私は全く思いを込めていません。思いというのは思考ですから、これだけ思考が増えている生活の中で、さらに思考の入った絵を壁に飾りたいと思いません。だから思考は一切入れずに描いています。

山崎さんの作品
写真提供=筆者

私たち人間には思考だけでなく、感性があります。幸せな体験をすると愛情が増えて不安が減る、一方で苦しい体験をすると悔しさが増えて不安が増える。このように常に揺れ動いています。私の作品は、海と空の風景ではありますが、子ども時代に体験した100%の愛で満たされた意識の世界を描いています。それは、私だけが感じたものと思っていましたが、誰にでもあるもの。空がすべてつながっているように、この意識は誰の中にも存在しているものなのです。だから私の絵は「窓」なんです。自分の中にある原風景を見つけられる窓。私の絵を求めてくださる方は、そんなふうに感じ取ってくださっているのではないかなと思っています。

【関連記事】
収入は1.5倍、夏休みは1カ月…フィンランドで寿司職人に転身した日本人女性が見つけた最高の働き方
「子どものいない社会」が理想になっている…養老孟司「日本の少子化が止まらない本当の理由」
「同じような毎日が続く…このままでいいのか」そんな人に哲学者ハイデッガーが伝えたかった"ただ1つのこと"
これができないと孤独な老後が待ち受ける…75歳・弘兼憲史が「60代になったら徹底すべし」と説く会話中の態度
妻がうつ病に…「なぜ」という夫に精神科医が「原因を探るのはやめたほうがいい」と諭すワケ