ツイッターで「自己負担」がトレンド入り

やはり「医療費の削減」、それが目的だったのだ。

新型コロナウイルス感染症の感染症法における位置付けを、5月8日以降、現行の「新型インフルエンザ等感染症」(ちまたでは「2類」と言われるが正確ではない)から、季節性インフルエンザと同等の5類感染症へと見直す方針を決めた岸田政権。

新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で発言する岸田文雄首相=2023年1月27日午後、首相官邸
写真=時事通信フォト
新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で発言する岸田文雄首相=2023年1月27日午後、首相官邸

コロナの治療費や検査費用の自己負担について、方針決定当初の1月末時点では、患者に急激な負担増が生じないよう期限を区切って公費負担を継続していく方針を示していたはずだが、3月10日に示された医療提供体制の見直しでは、外来においては原則通常の保険診療に切り替える(コロナ治療薬の費用等を除く)とされたのだ。

つまり「コロナ5類化」とは、医療機関の負担軽減やら発熱者の受け皿を増やすためやらと、いろいろなメリットが喧伝されたが、けっきょくはコロナにかかる医療費を減らすこと、すなわち「公費の削減」が主たる目的であることが、これでハッキリしたということだ。

この政府の方針がメディアによって明らかにされた3月1日、ツイッターでは「自己負担」がトレンド入りし、さまざまな声がタイムラインにならんだ。

「払えない」「当然」…なぜ世論が二分されているのか

「しばらくは無料で段階的にと言ってなかったか? 話が違う」「これで軽症の人は検査しなくなって野放し、コロナを広めたいのか」「無理……払えない」「自分の身は自分で守れってか、自己責任か」「ますます弱者はつらくなる」という懸念を示す意見がある一方で、

「当然」「やっとか」「1年遅いわ」「コロナもやっとカゼになったな」「これで医療機関も検査で儲けられなくなったな」「税金のムダ使いがこれでなくなる」

という歓迎の声も少なからず認められた。

このように「自己負担」については賛否両論、文字通り「世論が二分」されているわけだが、これはいったいどういうことであろうか。

まず否定的意見について考えてみよう。この3年間コロナについての医療費は公費負担だったと言われるが、それはどういうことか。それは抗原検査やPCR検査、そしてこれらが陽性と判断された場合の治療にかかる費用が公費負担であったということだ。つまり発熱して発熱外来を初診した場合に発生する初診料、そしてその医療機関が講じている感染対策にかんする診療報酬部分については、個々の受診者の自己負担割合に応じて窓口負担は、これまでも求められていた。

一部の人にはこの点について誤解があって、「コロナは全額公費負担と聞いていたのに、窓口で実費を請求された」と言う人も見受けられるが、あくまでも公費負担は検査とコロナの治療の部分だ。