3月5日に開催された東京マラソン2023で、レース中に我慢できなくなった男性ランナーが“立ちション”する光景がSNSにアップされ一部で炎上した。スポーツライターの酒井政人さんは「実は、立ちション以上に問題になっているのは、イヤホン装着ランナー。音楽などを聴いて耳を塞ぐと周囲の音がシャットダウンされ、競技審判員の指示も聞こえず、他のランナーの走行を妨げてしまうこともある」という――。
銀座の街を走る一般ランナーら=2022年3月6日、東京都中央区
写真=時事通信フォト
銀座の街を走る一般ランナーら=2022年3月6日、東京都中央区

東京マラソンで立ちション事件以外にもあった迷惑行為

東京マラソン2023では新宿・大ガード下の“立ちション”が炎上した。例年、コース途中に設置されたトイレまで我慢できない男性ランナーたちがこの高架下で立ちションするのは恒例シーンだが、今年はその画像がSNSなどで話題になったからだ。

トイレの数は限られており、間に合わない場合は仕方ない部分がある。実は1秒を争うトップ選手のなかには、走りながら済ませてしまうこともある。

とはいえ道路や公園など公共の場で、たんやつばを吐く、あるいは大小便を排泄する行為は軽犯罪法第1条27号にあたる。検挙・起訴されるケースはほとんどないが、ほめられた行為ではない。東京マラソンは沿道の応援も多いため、新宿・大ガード下は沿道の“目隠し”となる唯一ともいる場所だ。レース中の立ちションを肯定するわけではないが、外から丸見えの場所での放尿よりはよかったといえるかもしれない。

東京マラソンでは、「本大会で用意した場所以外での更衣およびトイレ以外で用を足すこと」「大会主催者が認めていない個人の名前、特定の地域・団体などをPRするものや広告宣伝等を目的とした服装」「競技審判員の指示に従わず、競技進行を妨げること」などが禁止されている。

立ちションはもちろんダメだが、なかにはお店や商品などをPRするようなTシャツで出場しているランナーもいる。これもNGだ。

立ちションやPR以上にマラソン大会ではアウトといえる行為がある。それはイヤホンを装着して走ることだ。基本的にルール違反であり、立ちション以上に、周囲に迷惑をかけている可能性が高い。イヤホンで音楽などを聴いていると、周囲の音がシャットダウンされる。競技審判員の指示が聞こえず、競技進行を妨げてしまうことがある。