※本稿は、川本徹『結局、腸が9割』(アスコム)の一部を抜粋、再編集したものです。
なぜ「腸活」が重要視されるようになったのか
「腸内細菌」という言葉、みなさんもご存知ですよね。善玉菌、悪玉菌というフレーズもよく耳にします。しかし、「では、善玉菌は具体的に何をしているのか?」ということを改めて聞かれると、「えーっと……、よく分かりません」という方も多いのではないでしょうか。
「細かいことはよく知らないけれど、とにかく腸内の善玉菌を増やせば、便秘が解消して体調がよくなるんでしょ」みたいなイメージかもしれませんね。
近年、技術の進歩によって、腸内細菌のDNAを解析できるようになり、実は善玉菌が体にとってよいものを作り出し、全身の健康に大きな影響を与えていることが、かなり詳細に分かってきました。
腸内細菌について詳しく言及する前に、あなたにお聞きしたいことがあります。
もし、あなたの腸から腸内細菌が一切いなくなったら、あなたの体に何が起きるのか、想像がつきますか? いきなり聞かれてもピンとこないかもしれません。いくつか起きそうなことを列挙してみましょう。
・便秘がちになり、お肌の調子が悪くなる
・ビタミンが不足し、体にさまざまな不調が起きる
・細菌やウイルスがどんどん体に侵入し、感染症にかかりやすくなる
・気分がふさぎこみ、うつになりやすくなる
・大腸に炎症が起き、がんを誘発する
もちろん、これだけではありませんが、真っ先に起きそうな事象を述べてみました。腸内細菌は、みなさんが思っている以上に、全身の健康に関わっているのです。
水溶性食物繊維が腸内細菌のエサになる
まさか腸内細菌が、そこまで人間の健康に具体的に影響を及ぼすとは、昔は想像もされていませんでした。
腸内細菌は微生物、つまり生き物です。ひとつひとつは肉眼で見られるような大きさではないので、細菌という生き物が自分のお腹の中にいるとは、みなさんうまく想像しにくいかもしれませんね。
腸内細菌は、人間の大腸の中におよそ1000種類、数は全部でおよそ100兆個もいるとされています。重さはなんと全部で1.5kg近くあるようです。
小腸にも少しいますが、基本は大腸の中にいて、このものすごい数の細菌が大腸の壁をびっしりと覆っています。