資源がないからこそ「人」中心の社会ができた

これはフィンランドが第二次世界大戦後に建てた国の方針とかかわると思います。フィンランドには資源がない、主だった産業もない。だから政府が投資する先は「人」しかいないと決めて、教育や福祉に力を入れてきたそうです。こういう背景があるから、女性も男性も、そして若い人もお年寄りも含めて、みんなが学び続けて、働き続けられる社会になっているんだと思います。

たとえば、起業支援も充実していることも、私がここに来て感動したひとつです。起業しようとする人はフィンランド人も外国人も問わず、政府の支援金や、無料のビジネスアドバイスサービスをつける制度などが充実しています。最近、「スラッシュ」というフィンランドのスタートアップのカンファレンスがあったんですけれど、大勢の若者や投資家たちがビジネスアイデアのプレゼンテーションを聞きに来ました。起業家支援は盛んで、起業自体が身近な選択肢になっていると感じます。

人しか資源がないと決めて、人に投資する。しかもその人がやりたいこと、できることにフォーカスする。そうすることで生産性も上がる、という構図があるのだと思います。

日本人がなぜか北欧に惹かれるワケ

――日本人は北欧社会に憧れに近い感情を持つ人が多いです。ほとんどの人は行ったこともないし、フィンランド人に会ったこともないのに。これはなぜでしょうね。

ムーミンやサンタクロース、北欧家具のデザインなど、素朴ながらも身近に感じる要素があるのかもしれません。自然をモチーフにしたデザインも多いので、日本人に合いやすいと思います。

この間お客さんと、「フィンランドと日本は厳しい自然環境の中で生きてきたから、お互い似ている部分があるかもね」という話題になりました。

日本は地震や台風といった自然災害が大きいし、フィンランドもすごく厳しい冬がある。それを乗り越えるためには人との協調が大事で、一緒にサバイバルしなきゃいけない。だからこそ自然への脅威、そしてリスペクトというのもフィンランドも日本も共通で持っているのかもしれないね、ということを話されていました。

そういうつつましさや、限りある中でも生きていくというような姿勢が両国に共通しているのが、日本人が北欧に親しみを持つ理由なのかもしれません。

撮影=北欧週末部chika
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