“昭和のチップ”を体から抜かなきゃ

父親の出番? 僕からしたらチョッと昭和なタイトルやね~(笑)。子どもが自信を失ったのは、大人のせいやん? 自分の仕事を誇りを持って伝えられなくなってる親が多いやん? 「勉強せな、俺みたいになるぞ」とかな。

ラジオDJ
山本シュウ

1964年、大阪府生まれ。米ニューヨーク留学後、93年ラジオDJとしてデビュー。子息の小学校のPTA会長を5年間務め、2008年よりラジオで子どもの電話相談室を担当。2大学の非常勤講師のほか、無償でエイズの啓発活動を続けている。

ICチップってあるけど、あれと一緒で、僕も含めて昭和の時代に生まれ育った親たちには“昭和のチップ”が幾つも埋め込まれてる。部下とか子どもとの間の揉め事の多くは、このチップが原因。普段、子どもとの会話が「今日、学校どうやった?」「普通~」だけで終わってたら、以前に気付かないところでこのチップが作動していた可能性が大。子どもは「話してもしゃーない」と思ってる。このチップを体から抜かないかん。

まず、「他人の話を最後まで聞けないチップ」。子どもの話を必ず遮る。「もう、おまえの言うことはわかった」「おまえの言いたいのはこういうことや」とか。僕がやってる「全国こども電話相談室・リアル!」(TBS系ラジオ)が45年も続いてるのは、昔から親が子どもの話を聞かないからなんよ。

もう一つが「絶対オレが正しい」チップ。例えば、両親の揉め事は、簡単に言うと「おまえの黄色いTシャツはおかしい」「何言うてんの! あんたの破れたGパンのほうがおかしいわ」「ナニーッ!?間違ったTシャツ着てる奴に言われたないわ」……これが延々続くねん。互いに「私は正しい」言うてるだけで、何の議論もしてないことに気付いてない。

それに輪をかけたのが、「すぐ感情的になるチップ」。“昭和のスイッチ”って言う子もいるくらいで、スイッチONになると、「ええ加減にせえ!」「黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって」とキレる。子どもはいつ自分がええ加減だったのかも調子に乗ったのかもわからんのに。

物事を0か100かで決める「極端なチップ」もある。子どもが家でゴロゴロしてたら「そんなことしとったら、公園で寝てるおっさんみたいになるぞ」と言いよる。そんな直結することじゃないし、親が他人を見下したり分けたりする差別のほうが問題やね。子どもが3つ言ったうち2つがいいことでも、一つ間違っただけで全否定してしまう。