「家庭内別居」に至るケースも…

また別のケースでは、同じくこうした夫の振る舞いによって妻の不満が少しずつ積み重なり、愛想を尽かした妻は最終的に家庭内別居というスタイルを選択しました。

加藤進昌『ここは、日本でいちばん患者が訪れる 大人の発達障害診療科』(プレジデント社)
加藤進昌『ここは、日本でいちばん患者が訪れる 大人の発達障害診療科』(プレジデント社)

ASDの彼は、自分の行動のどこがいけなかったのか、何が妻を悩ませ、怒らせてしまったのか、自ら理解することができません。しかし、妻も子どもも、いまとなっては彼とコミュニケーションをとろうとさえしないのです。

彼は、最近になってようやく発達障害専門外来を受診し、ASDの診断がつき、自分の特性を客観的に受け止められるようになりました。

そして、これまで自分には妻や子どもへの思いやりが足りなかったことを自覚し始め、「妻と子どもにはいままで苦労をかけて申し訳なかった」と考えるようになりました。

彼がそこに至るまでには、定期的に診察を受け、ASD専門プログラムのデイケアにも参加して、ピアサポートを受けながら、少しずつ自己課題にも気づくようになり、家族に歩み寄ろうと努力するようになった過程があるということを強調しておきたいと思います。

【関連記事】
妻がうつ病に…「なぜ」という夫に精神科医が「原因を探るのはやめたほうがいい」と諭すワケ
なぜ生きづらいのか、やっとわかった…自分も、夫も、2人の息子も「発達障害」と診断された45歳女性の告白
「精神科医が見ればすぐにわかる」"毒親"ぶりが表れる診察室での"ある様子"【2021下半期BEST5】
「脳トレはほぼ無意味だった」認知症になっても進行がゆっくりな人が毎日していたこと
子どもに月経や射精について話すときに「絶対使ってはいけない言葉」2つ【2021上半期BEST5】