「家庭内別居」に至るケースも…
また別のケースでは、同じくこうした夫の振る舞いによって妻の不満が少しずつ積み重なり、愛想を尽かした妻は最終的に家庭内別居というスタイルを選択しました。
ASDの彼は、自分の行動のどこがいけなかったのか、何が妻を悩ませ、怒らせてしまったのか、自ら理解することができません。しかし、妻も子どもも、いまとなっては彼とコミュニケーションをとろうとさえしないのです。
彼は、最近になってようやく発達障害専門外来を受診し、ASDの診断がつき、自分の特性を客観的に受け止められるようになりました。
そして、これまで自分には妻や子どもへの思いやりが足りなかったことを自覚し始め、「妻と子どもにはいままで苦労をかけて申し訳なかった」と考えるようになりました。
彼がそこに至るまでには、定期的に診察を受け、ASD専門プログラムのデイケアにも参加して、ピアサポートを受けながら、少しずつ自己課題にも気づくようになり、家族に歩み寄ろうと努力するようになった過程があるということを強調しておきたいと思います。