身内を秘書官にする風習がはびこっている

首相長男による問題行動といえば、菅義偉前首相の長男、正剛氏による総務省官僚接待問題が思い出される。

正剛氏は菅氏が総務大臣だった頃に秘書官を務め、映像制作会社である東北新社に入社した後にも、かつての古巣の官僚に対して違法な接待を繰り返していた。国会では総務審議官などが処分される大問題となり、菅政権は大きなダメージを負った。

情けないことに日本の首相が二代続けて、秘書官に起用した長男が起こした問題によって追及を受けているわけだが、このように身内に秘書官を務めさせる風習は永田町にはびこっている。

例えば安倍晋三元首相は父の晋太郎氏が外務大臣だった頃に秘書官に任命され、現職の福田達夫衆院議員は父の康夫氏が首相の時に秘書官を経験している。

そもそも秘書官とは何者なのか

そもそも秘書官とは何者なのか。簡単に言えば大臣の仕事をサポートする国家公務員である。給料はもちろん私たちの税金である国費から支払われている。

その秘書官にも2種類あり、各省庁から選ばれて大臣の公務を補佐する事務秘書官と、大臣の政治家としての仕事を補佐し、自由に任命することができる政務秘書官とがいる。冒頭の荒井氏は事務秘書官であり、翔太郎氏は政務秘書官となるわけだ。

では、政務秘書官という仕事は身内に簡単に任せることができるような内容なのだろうか。秘書官の仕事といえば、経産省の職員が作った西村康稔経産大臣の対応マニュアルが流出し、ニュースで取り上げられたことが記憶に新しい。そこには「お土産の購入量が非常に多いため、荷物持ち人員が必要。秘書官一人では持ちきれない」などと書かれていた。

良いか悪いかは別にして、実際に大臣によっては土産購入の荷物持ちのような雑務を秘書官に任せるような場合もある。しかし、国のトップである首相を支える首相秘書官となると趣が変わってくる。