離婚成立後に倒れて救急搬送
別居、離婚しても、安心できない。ある妻は、毎日のように夫が激しく怒鳴るため、とうとうシェルター(一時保護施設)に逃げ、その後離婚が成立したが、離婚成立後、突然、身体が動かなくなって倒れ、救急搬送された。
大きな病院でさまざまな内科的検査をしたが、原因は見つからなかった。おそらく、常にモラハラによる精神的ストレスを受けていたところに、別居・離婚が成立したことで、今まで抑え込んでいたものが一気に解放されたのだろう。ストレスにより心と身体が悲鳴を上げていたにもかかわらず、これまではそれらを押し殺す生活が続いていた反動で、さまざまな症状が身体に表れたのだと考えられる。
夫は理由を理解できないまま別居
さて、私はAさんの代理人として、別居後、夫のB氏に電話した。B氏は、なぜAさんが出て行ったのか理解できないという。
B氏によると、離婚の理由はあるはずもなく、離婚は認めないという。Aさんも別居して、苦しさから逃れたので、離婚に進むことは、特に希望しなかった。その結果、AさんとB氏は、別居したまま、当面は離婚しないことになった。
このような場合、子どもの有無にかかわらず、Aさんよりも収入の多いB氏は、Aさんに月々生活費を送金し続けることになる。B氏には、夫婦として同居せず、何らの「内助の功」は得られないまま、妻の生活を支える義務だけが課される。
同居している間、Aさんは、「結婚とは何なのか」と悩み続けた。その悩みを、別の形でB氏が背負うことになったのである。
離婚の成否にかかわらず、AさんとB氏の結婚は到底成功しているとはいえまい。率直に言えば失敗である。この失敗の原因は、指摘するまでもなく、B氏のモラハラである。しかし、B氏に自覚はない。
「私も『モラ妻』ではないか」
私はツイッターで、日々、モラハラについてツイートをしている。フォロワーから質問を受けることも少なくない。
妻たちからは、「自分も言い返す」「夫からモラ妻と言われている」ので、「私こそ/私も『モラ妻』ではないかと心配」といった質問も少なくない。
ところが、夫たちから「自分はモラ夫ではないか」と質問を受けたことはない。夫たちは、自らのモラハラに気が付かないし、心配しないのだ。そしてある日、妻が家を出て行った後に、妻の弁護士から「モラハラ」と指摘を受けて憤慨することになる。