借金の負担はすべて住民と職員に
炭鉱閉鎖後に観光を振興するためスキー場やホテル、遊園地を自ら経営し、一時借入金などを悪用した“粉飾決算”で、負債を膨らませたことが主因だ。
破綻後は国の財政再生計画に基づいて粛々と債務を返済しており、5年前に比べると債務額自体は128億円(43%)減っている。だが、高齢化に加えて高い水道料金(※月額6966円)や住民票交付手数料(500円)など全国最低水準の行政サービスに嫌気した住民の流出が止まらない。
※日本水道協会『水道料金表』(2020年4月1日現在)より。
2022年1月時点で7055人だった人口が、12月末時点では6729人にまで減っていた。ピーク時の17分の1の水準で、このペースが続くと20年後には消滅してしまう。
過剰債務を招いたのは市の責任とはいえ、融資していた銀行や監督していたはずの国・道は責任を問われず債権も毀損しなかった。負担をすべて住民と職員に押し付けた夕張市の再建スキーム自体に問題があったと言わざるを得ない。
北海道内陸部の街がランクインするワケ
2位の士別市(132万円)は地方債残高が262億円ある一方、基金などは少ない。2005年に朝日町と合併して発足した同市は、東京23区の1.8倍の面積を持つ。「面積が広い分、公共施設や道路を整備しなければならなかった」(財政課)。51億円かけてごみ処分場(環境センター)を建設したほか、老朽化していた庁舎も32億円で改築した。
借金部分は元利償還金の7割を国が交付税で補塡してくれる合併特例債や過疎対策事業債で充てているため、残高ほどの負担はないもよう。それでも、2020年12月には自主的に財政健全化計画を策定して改善に取り組んでいる。
例えば「(2025年度までの)5年間の起債額を52億円以下に抑え」(同)、収支を改善させていくという。住宅の新築や改修時に出していた補助金も廃止した。健全化と直接関係するわけではないが、2020年4月には体育館の使用料や病院の手数料も軒並み引き上げた。
このほか、4位の赤平市(103万円)、6位の深川市(98万円)など北海道の内陸部に財政の悪化したところが多い。 赤平市や21位の三笠市(80万円)、27位の芦別市(75万円)は旧産炭地で、炭鉱閉鎖後の人口減少を食い止めるため第三セクターなどが事業を始めて失敗したり、公立病院の赤字を放置して傷を広げたりした。