軍需産業が暗躍する限り、戦争は終わらない
米軍需産業のもう一つの狙いは、ロシア兵器の信頼を低下させ、武器市場でロシアのシェアを奪うことだ。
第三世界向けのロシアの兵器輸出は米国に続き世界2位で、インドや東南アジアが最も多い。米軍需企業はロシア製兵器輸入国に対し、ウクライナ軍に破壊された戦車・装甲車の無残な残骸映像を提示し、輸入中止を働き掛けているという。
西側の経済制裁を受けるロシアは、半導体など電子部品の調達が困難になり、兵器生産に支障が出ている。最大の輸入国インドはロシア製兵器への依存を低下させることを決めた。
一方のロシアは11月、23年度予算案を可決し、国防予算を前年度比約7%増の5兆ルーブル(約11兆円)に設定した。予算支出の約4割が国防・治安対策費で、プーチン政権は戦争継続と国内支配に予算を投入せざるを得ない状況に追い込まれた。
こうして、政権崩壊を恐れて戦い続けるプーチン政権、領土奪還に賭けるゼレンスキー政権に加え、空前の利益を上げる軍需産業が戦争長期化の「影の主役」になりつつある。