2〜3日で生産する「ウルトラ・ファストファッション」の真実
私は、中国アパレル企業に勤める友人にシーインの調査を依頼した。
中国在住の彼は、ZOOM上で、「シーインの秘密をお見せしましょう」というと、シーインのウェブサイトに掲載されている商品画像を、中国製スマホのAI画像検知にかけた。
すると、同一商品と同一モデルが、タオバオをはじめ、あちこちの中国ECサイトで別ブランドとして掲載・販売されていたのである。
つまり、シーインは、工場で余った残反や余った商品(余剰在庫)をタダ同然で買い取り、ブランドネームを変えて販売しているだけなのだ。
余った商品の中から売れ筋をピックアップして販売するから、3日で3000SKU(ストック・キーピング・ユニット、在庫最小管理単位)を新規投入するという、膨大な品揃えが可能になる。
2〜3日で生産する「ウルトラ・ファストファッション」と主張している専門家もいるが、そんなことは不可能だ。
シーインは「バッタ屋」
数千種類もの布帛やニット原糸などの「素材」を半日から1日で集め、残り2日で修正もせずにパターンを引いて、3000SKUもの商品を作れるはずがない。
シーインのビジネスモデルは珍しいものではない。
例えば、日本でも大阪のshoichiという会社が、米国では「オフプライスストア」という業態で、同様のことをやっている。
シーインは、いわゆる「バッタ屋」なのだ。
シーインの急成長の原動力である超低価格は、世界中のアパレルが同社のために商品コストを立て替えてくれている、という構造で成り立っているのである。