資本を集中させ、動かす権力がある

第一。資本をコントロールしている。ふつう政党や政治権力は、資本をコントロールしたりしないです。戦時経済を除けば。だけど、改革開放は、中国共産党が資本をコントロールし、中国共産党が主導して資本主義経済を進めるという考え方です。

どうやって資本をコントロールしているのか。資本は国有企業に集中している。郷鎮企業が国有企業を追い抜きかかったことがありました。80年代から90年代に。でも、それにはブレーキがかかって、再び国有企業が復権した。資本は集中する必要がある。それが国有企業に集中している。それ以外の経営形態の企業もあるが、どの企業にも中国共産党の支部があるわけだから、指揮命令関係がある。そうやって資本を動かす、権力があるんです。

第二に、軍。人民解放軍というのがある。人民解放軍の指揮権は、中国共産党の中央軍事委員会主席が握っている。中国共産党は任意団体で、国家を超えた存在です。憲法や法律の規定に服さない。だから、この軍事力は、超憲法的な実力なんですね。法の支配の反対です。党の支配。党は軍を持っているから、その指揮命令権には裏づけがある。

北京
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目についた人間を拷問でおとなしくさせる

第三に、人事。中国は巨大な官僚組織で、企業を含め、政府を含め、軍を含め、すべての人事を、中国共産党中央の組織部というところが握っていて、組織部が人事権を持っている。組織部ににらまれたら、すぐ失脚する。こういうふうになっています。人事によって権力を行使するのは、中国の2000年の伝統だ。

第四に、秘密警察。中国共産党に紀律検査委員会というのがある。党員の紀律を審査するんですね。紀律検査委員会の審査は、法手続きではない。党内手続きなんです。「君、ちょっと来なさい」みたいにホテルに呼び出して、1カ月カンヅメにして、バスタブに水を溜めて、白状しろって頭を突っ込む。拷問です。職場や自宅を捜索して、証拠を集める。関係者も調査する。

理由は、腐敗、汚職、党員としての義務に反した、みたいなことなんだけど、そんなこと誰でもやっているからね。拷問されれば、誰だって白状する。山のような証拠が出てくる。誰でも有罪にできるので、これが権力闘争の手段ですね。紀律委員会は党の正式機関だけれど、そのほかに秘密警察が何系統もあって、目をつけた誰かれや政治的反対者を、おとなしくさせることができる。

この四つは、ふつうの民主国家にはない、強力な統治のツールです。これだけガチガチな権力手段を持っている、中国共産党は、西側世界に例がない。実は、マルクス・レーニン主義とも違った権力を持っている。

【大澤】なるほど。