日本は先進国に追いつき、そして失速した

【大澤】その上で、聞きたいことがあります。先ほどのジェネリック医薬品の比喩は、わかりやすい説明でした。中国が成功しているのは、いくら豊かになったとはいえ、まだキャッチアップの段階だからですね。

日本経済は、非常に強かった時期があった。日本経済も、欧米の先進国に追いつこうとしている段階ではよかったのです。しかし、追いついてしまうと、自分から新しいことができずに失速してしまった。1989年には、時価総額ランキングの20位以内に入っている日本企業は、NTTや住友銀行など14社もありました(もっとも、これはこれで、バブルからくるもので異常と言わざるをえませんが)。

しかし、現在は、時価総額20位以内の日本企業は、ひとつもありません。この間になにがいちばん変わったかというと、インターネットを中心としたビジネスが広がったことです。インターネットの世界は新大陸のようなもので、まったく未開拓の領域だった。そこには、目標とすべき先行者がいない。そのため、日本企業は進出することができなくて、遅れをとったのでしょう。

日本経済は、キャッチアップのモードだったときはうまくいったが、追いついてしまえば方向を見失い、失速したわけです。

中国と資本主義が噛み合った4つの理由

これは日本のケースですが、中国にも同じような運命が待っているのか。いまのところ、アメリカで成功したものの中国バージョンみたいなものがいっぱいできてきてますね。これは、追いかけモードだからうまくいっているので、やがて追いかける段階が終われば、うまくいかなくなるかもしれない。追いかけるのが得意な人は、追い抜けない。そのように予想することもできますし、実際、そう主張している人もたくさんいます。橋爪さんの見通しだと、どうなのでしょうか。

【橋爪】中国のシステムについて考えます。中国のシステムと資本主義がなぜうまく噛み合っているのか。

中国共産党の権力の基盤を考えてみると、四つぐらいある。