元ロシア外交官のボリス・ボンダレフはテレビ局の取材に答え、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の「運は尽きた」との見方を示した。
ボンダレフはジュネーブのロシア国連代表部に勤務する外交官だったが、ロシアによるウクライナ侵攻に抗議して5月に辞職。その際に発表した書簡で彼は、「(侵攻は)ウクライナの人々に対する犯罪であるばかりか、ロシアの人々に対するこの上なく深刻な犯罪だ」と述べている。
ボンダレフは10月23日に放送されたスカイ・ニュースのインタビューでこう述べた。「権力の座にあった20年間、プーチンは運がよかっただけだと思う。賢いのではなく、単に運がいいだけだ。もはやその運も尽きた」
またボンダレフは、プーチンは「この戦争に勝ち、ウクライナ人をせん滅するためだけに1000~2000万人のロシア人を犠牲にする」ことも辞さない、との見方を示した。「(この戦争が)信条の問題であり、彼にとっては政治生命の問題だからだ」
「理解しなければならないのは、敗戦は彼にとって終わりを意味するということだ」とボンダレフは述べた。
またボンダレフは、もし戦争に負ければプーチンは「社会の中枢にいる人々にも一般国民にも、なぜそうなったのか説明しなければならないだろう。説明するにあたって都合の悪いことが出てくるかも知れない」とも述べた。
偽情報を拡散するためにインフラ攻撃?
ロシア軍は侵攻開始直後の2月から占領を続けていた南部ヘルソン州で劣勢に立たされている。アメリカのシンクタンク戦争研究所が先ごろ出したリポートによれば、ロシアは「計画中のロシア軍の撤退や、ヘルソン州でかなりの広さの占領地を失ったことを正当化するために」口実となる状況をあらかじめ設定しておこうとしているという。
戦争研究所はまた、ロシア軍はいわゆる「偽旗作戦」を計画していると指摘する。つまりウクライナ軍のふりをして、ヘルソン市の東50キロ圏内にあるカホフカ水力発電所を攻撃しようとしているというのだ。
「ロシア政府はそうした偽旗攻撃をヘルソン州西部で行い、ロシア軍の3つめの惨めな撤退のニュースをウクライナの汚い攻撃のせいにしようとするかも知れない」と戦争研究所は指摘する。「そうした攻撃は、ウクライナを『一般市民を故意に標的とするテロ国家』として描くロシアの偽情報作戦の一環でもあるだろう」
ロシア政府は20日、不法に併合を宣言したウクライナ東部4州に戒厳令を敷いた。ヘルソン州もその対象だ。一方でロシア軍が占領地域から撤退しているとのニュースも相次いでいる。