「あ、いや、そのフォローじゃなくて……」どうにか取り繕って部長から逃れ、営業に向かった藤井君。電車でツイッターを見ていると、ガラケー(ガラパゴス・ケータイ)と揶揄される日本の携帯電話事情に触れ、SIMカードのロック解除を支持する発言を発見。

ガラケー/ガラパゴス・ケータイ。世界的に見ると特殊な規格を採用したり、おサイフケータイやワンセグテレビ、カーナビなど世界では一般的でない機能が標準になっていたりと、独自の進化を遂げた日本の携帯電話を揶揄する表現。例えばSIMカードのロックも本来の使い方を禁止した日本独自の措置。孤島という特殊環境ゆえに生物が独自の進化を遂げたガラパゴス諸島にたとえている。その後、日本の携帯も通信規格に世界標準規格(3G)の採用が広がったが、周波数帯が日本独自のため海外製品は参入しにくい状況だ。

SIMカードのロック解除/SIMロック解除ともいう。携帯電話には、電話番号や契約者識別情報が記録された、切手半分ほどのサイズのSIMカードが入っている。電話機を買い替えたときでも、SIMカードを差し替えれば、これまでどおりの電話番号、契約者で継続利用できる。原理上は携帯電話会社を問わず、SIMカードを差し替えて使えるのだが、販売戦略などの理由で他社の電話機では利用できない仕組みになっている。この電話会社縛りをSIMロックという。しかし、利用者の利便性向上のためにはこのロックが邪魔だとして、総務省はSIMロック解除の方針を打ち出している。

「ははあ、こういう話を営業トークに生かせばいいんだな」。営業先で商談中、たまたま携帯電話の話題になった。待ってましたとばかりに「やっぱりSDカードのロック解禁だと思うんですよね。実はさっきツイッターにそんな発言がありましてね、いい線突いてますよ、その人」と得意げに話すと、「もしやSIMロック解除のことですか。そういえば、うちの社長がさっきツイッターにそのことを書いてましたね」と担当者。なんとネタ元は営業先の社長のつぶやきだったのだ。

SDカード/デジカメや携帯電話で写真などを保存する記録媒体として一般的なメモリーカード。本文の藤井君はSIMカードとSDカードを取り違えた。

インターネット上では、ついつい発言主の存在を忘れがちだが、画面の向こう側には人がいるという現実は、常に意識しておきたい。

※すべて雑誌掲載当時