どのようなお看取りが最善なのか
どのようなお看取りが良いのかという絶対の正解はありません。ケース・バイ・ケースで判断するしかないのです。患者さん本人が心肺蘇生を希望されるなら、その選択肢を尊重して十分な心肺蘇生を行います。十分な説明をされた上で、ご本人やご家族が少しでも納得のいく最期を迎えられるようにするしかありません。
高齢者ご本人が理解できるうちに十分な説明をし、胃瘻を造るかどうか、延命治療を行うかどうかを確認しておくのが理想的です。でも、もしもそれができなければ、ご家族が「ご本人だったらどうしたかったのか」をよく考えた上で選択されれば、それが最善だろうと私は思います。
最後に、死亡確認も医師の仕事です。聴診器で心音と呼吸音の停止を、ペンライトで対光反射の消失を確認し、死亡時刻を述べます。そのあとに「お疲れさまでした」と述べることが多くなりました。長く生きてこられた患者さまに対しての言葉でもありますし、長く看病されてきたご家族に対する言葉でもあります。何歳であってもご臨終はご家族にとってつらい瞬間です。悲しみや後悔を少しでも減らせるよう心がけています。