あなたは親がどんな資産を持っているか、把握しているだろうか。FP相談サービス執行役員の佐藤健太さんは「親が持つ資産の中には今すぐ手放したほうがいいものもある」という――。
秋の軽井沢の別荘
写真=iStock.com/CHENG FENG CHIANG
※写真はイメージです

父親がこっそり持っていた別荘の維持費に驚愕

日本の相続税は遺産の額によって税率が異なる累進課税で、取得する遺産の額が大きければ大きいほど税率は高くなる。1000万円以下の税率は10%と低いものの、6億円超に課される最高税率は55%だ。いかなる資産家も「3代で普通の人になる」と言われるほど相続時の負担は大きい。

だが、死別前であっても生活が大きく狂うことがあるのはご存じだろうか。高度経済成長の恩恵を受けた親が一財産を築いたものの、老後に維持費が払えなくなり、相続前の子どもが家計を圧迫されるケースだ。「うちは普通の家だから大丈夫」と高をくくっている人も、思わぬ資産で痛い目を見るかもしれない。

「えっ! これは俺が払わなければいけないの?」。東京・世田谷区の二世帯住宅で父親と暮らす40代のサラリーマン男性Aさんが驚いたのは、父がこっそり持っていた「資産」だった。

デジタル広告を専門とする会社で働くAさんは年収約500万円で、専業主婦の妻と娘2人の4人暮らし。8年前に母親が他界し、父親と暮らすために千葉県から引っ越して二世帯住宅を構えた。手取りは月33万円ほどで、10万円弱の住宅ローンや娘たちの教育費などを払えば着飾る余裕もない。

Aさんは、父親が所有する別荘の維持費に驚愕した。大手商社を約15年前に退職した父は、退職金を元手に静岡県熱海市にマンションを購入していた。間取りは2LDKの約60平方メートル。高台にある部屋はバルコニーから海や市街地が見下ろせる絶好の位置にあり、「終の棲家」にしようと約2000万円を投じたという。