本のメリットは読書中に考え込めること

②インプットすること自体が即アウトプットになる

難解な本や、自分がくわしくないテーマの本を読んでいると、途中で考え込んでしまって、読書が進まないという経験はないでしょうか。それは、決して悪いことではありません。むしろ読書のメリットです。

本は自分のペースで読み進めていくため、読書中に考えごとをしてしまったり疑問が浮かんだりすると、本との対話、自分自身との対話が発生します。本の内容をインプットしている過程で、一種のアウトプット作業が発生しているのです。読む過程で本に線を引いたり自分の考えのメモをとったりすると、アウトプットとしての側面がより強くなるでしょう。

テレビやWebメディアの動画などは徹底的にわかりやすく加工されており、かつ自動で話が進んでいくため、私たちがこういった時間を得ることはほとんどありません。考えないでいいように重要な箇所にはテロップがついていたり、面白い部分はリピートしてくれたりと、受動的に消費できるコンテンツになっています。

本は、SNSやWebのブログ記事などとは異なり、長文であることから、前後の辻褄や流れなど、思考を整理するタイミングが多く、本との対話が発生する頻度が大変多いコンテンツです。本を読むと思考力が高まりやすい1つの理由はここにあります。

本は効率的に高い学習効果を得られる

③著者の視座や思想を学ぶことができる

本の価値で、私が特に優れていると感じているのはこの点です。本1冊を書くために、著者は特定の1つのテーマで数万~数十万字の長文を記す必要があります。そうなると、どのような章立てにするか、どんな内容をセレクトするのか、1つ1つに著者の個性が出ますし、著者の向き合い方がわかります。

世の中には「フラットな情報」というものは存在せず、情報には必ず発信する人の意図や思想、視座が存在しています。高い知見を持っている専門家の視座を知ることができるのは、本の最大の利点です。

本の持つ3つのメリットを挙げてきましたが、こういった内容の本が、新書や文庫であれば1000円前後、一般のビジネス書であれば2000円以内で購入できるのは、驚異的なパフォーマンスです(学術書ですともっと高価ですが……)。後に触れますが、Webの情報は高いリテラシーがないとゴミばかりを拾うことになりかねませんし、罠も多いのですが、本にはそういったリスクが圧倒的に少ないのもポイントです。

つまり、高いリテラシーがなくても効率的に高い学習効果を得られるというのが、本の持つポイントです。金銭的コスト、時間的コストの両面から高いメリットがあるメディアと言えます。