「できれば1学年はスキップしたい」の意味

かつての旧制高校の世代の友情は一生ものと言われ、その結束は非常に固かった。その中心に寮生活があったことが大きい。ただし、「生まれ変わったら防大には入りたいが、できれば2学年から入りたい」という冗談を言う卒業生も多い。「防大1学年が人生で一番長い1年だった」という卒業生がたくさんいるほどに、最初の1年、正確には2学年4月のカッター競技まで、高校生までの生活では考えられないほどに肉体と精神が鍛えられるのだ。

このように、1学年と上級生の間には、士官学校であるがゆえの明確な上下関係があるのだが、勤労感謝の日の前後に、1学年と4学年の立場を完全に逆転させる日が設定されている。防大版「勤労感謝」で、授業と訓練以外は、朝の清掃から一斉喫食の準備、その他いろいろな雑務を4学年がやり、1学年が指導する。

4学年はさすがに最高学年なので、1学年の指導に対してジョークで返すなど、和気藹々の一日となる。いつから始まったのかわからないが、明確な上下関係をギスギスさせないための昔の学生たちの知恵なのであろう。

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