牛肉豚肉、ソーセージなどがもつ2つの発がん性物質

動物性のタンパク源、中でも牛肉や豚肉、ソーセージなどの加工肉は尿ペーハー、すなわちがん細胞周辺の微細環境をはじめとする体内環境を著しく酸性に傾けます。しかし、牛肉や豚肉や加工肉の弊害は酸性化だけではありません。

実は、動物性のタンパク質を豊富に含んだ牛肉や豚肉や加工肉などを焼いて調理する過程で2つの発がん性物質が生成されることがわかってきています。

1つはHCA(ヘテロサイクリックアミン)、もう1つはPAH(多環芳香族炭化水素)と呼ばれる物質です。このうち、HCAは肉類を焼いた際にできる黒いコゲに含まれており、PAHは炭などに落ちた肉類の油から立ち上る煙に含まれていますが、いずれも発がん性物質として知られている有害物質なのです。

「がんをおとなしくさせる食事」はたくさんある

したがって、少なくとも前がん状態にある人やすでにがんを発症してしまった人がタンパク質を摂取する場合は、牛肉や豚肉や加工肉などの動物性タンパク源ではなく、大豆をはじめとする植物性タンパク源から摂取することが推奨されるのです。また、タンパク質の摂取不足を動物性タンパク源で補う場合は、抗炎症作用も持つDHAやEPAを豊富に含む青魚などから摂取するのが上策となります。

サバ焼き定食・豆腐、キュウリ、納豆、モズク、味噌汁、梅干し
写真=iStock.com/zepp1969
※写真はイメージです
和田洋巳『がん劇的寛解』(角川新書)
和田洋巳『がん劇的寛解』(角川新書)

以上が「がんをおとなしくさせるための食事術」になりますが、これらの食事術に則った具体的な献立例やレシピ(朝、昼、晩の3食)については、そのための下ごしらえ(出汁の取り方、サラダドレッシング・ディップの作り方、キノコペーストの作り方、野菜・果物ジュースの作り方など)も含めて、私の過去の著書『がんを生き抜く最強ごはん』(毎日新聞出版、2019年)や『がんに負けないからだをつくる 和田屋のごはん』(WIKOM研究所、2018年)の中で詳しく紹介しています。

また、ここで紹介した食事術の詳細とがんに対して有効なメカニズムは最新刊『がん劇的寛解』(角川新書、2022年)で解説していますので、ぜひとも参考にしてみてください。

【関連記事】
老化を招く「テストステロンの減少」を食い止められる…いつも明るく元気な人が摂取している"ある食材"
「野菜たっぷりなら良いわけではない」糖尿病患者にほぼ確実に不足している"ある食べ物"
「痛みが取れたら夫婦でパチンコに行きたい」末期がんの女性が選んだ人生最後のシナリオ
副作用に苦しむなら抗がん剤治療は諦めてもいい…ステージ4のホスピス医が「がん共存療法」にたどり着くまで
「孤独は喫煙に匹敵するレベルで脳卒中の死亡リスクを高める」世界的精神科医が指摘する納得の理由