方法2:空間を区切る

2つめは、仕事や日常生活のストレスや緊張がある場所(会社や自宅)から空間的な距離をとることで、連続する緊張した感情を区切る手法です。空間の区切り方には水平方向と垂直方向の2通りの方法があります。

いずれも誰もがすでにやった経験があると思います。

たとえば、社員食堂でお昼を食べるよりも、社外ランチのほうが気分転換になります。仕事が終わってオフィスビルを出るとちょっと気が緩みます。電車通勤の人は、会社から距離が離れてくるにつれ、リラックスしてくる感覚があるのではないでしょうか。休日も、自宅にこもっているだけよりも、外で遊んだ方が気分転換になりますよね。

簡単に空間を区切るには、電車で遠くに行き日常生活から距離をおくことです。遠くに行くのが億劫な人は、ぜひ、近くの高いところに登ってみてください。日常的にみている世界を別の角度から、また、小さく見ることができて、きっといい気分転換になるはずです。次第に自分の状況を冷静かつ客観的・俯瞰的に考えることができ、緊張感からの解放以上の効果を得られます。

方法3:五感を区切る

3つめは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚という五感に変化を与えることで、緊張した気持ちを区切る方法です。人間の感情は、五感に大きく影響を受けています。だからこそ、気分転換によって五感を区切り、それを通じて緊張感を和らげることはとても重要になってきます。

五感のイラスト
写真=iStock.com/Sudowoodo
※写真はイメージです

これも私たちは自然に日常生活に取り入れています。たとえば、壁にかかった絵画や観葉植物を眺める(視覚)、音楽を聴く(聴覚)、アロマをたく(嗅覚)、甘いものやエスニック料理を食べる(味覚)、温泉につかる(触覚)などの行為を通じて、緊張を和らげたり、気分を変えたりというのは、多くの人が無意識にやっていることです。

このように普段無意識にやっていることですが、せっかくの1日だけの休みであれば、ぜひ、意識してご自分の五感を刺激してみてください。1つのイベントで複数の感覚を刺激できるものもたくさんあります。

例えば、ドライブに行くときは、車内をお気に入りのアロマでみたし、お気に入りの音楽を聴く。電車で目的地に行く場合も、音楽を聴きながら、日常とは異なる景色に目を向ける。外出先で、普段は食べない郷土料理やエスニック料理などで、視覚、嗅覚、味覚を刺激する(きっとその国の音楽もかかっているので聴覚も刺激されますね)。温泉や流行のサ活(※編集部註:サウナ活動)は、視覚、嗅覚、聴覚、触覚を刺激してくれます。

五感を通じて緊張感を区切ることは、多くの方が少なからず、やっているのではないでしょうか。ここで紹介した習慣をすでにお持ちであれば、今後はよりいっそう意識的に、自分の緊張を区切り和らげ、自分のコンディションをいい状態に保つために、日常生活の中でも、緊張感で体がこわばってしまう前にやってみてください。

以上、たった1日の夏休みでも、抗うつ効果が高い過ごし方、それは、日常生活の緊張感を区切ることでした。そのための3つのポイントについて述べました。