サイバー攻撃を発端に、NATOが反撃に出る恐れ

プーチンによるウクライナ侵攻は、いまや世界的な安全保障上の脅威となりつつある。2月にはじまった衝突は、ロシア・ウクライナの2国間の紛争を超え、北大西洋条約機構(NATO)を巻き込んだ数十カ国間の対立に発展した。

そこで懸念されているのが、欧州全域ひいては世界の広大な地域が焦土と化す「第3次世界大戦」の勃発だ。無数の犠牲者を生むであろう戦禍が回避されることを願うばかりだが、現実問題として、世界レベルで緊張は高まりつつある。

ロシアはこれまでのところ、ウクライナ以外への実弾戦は展開していない。だが、戦場が欧州に拡大しないことを意味するわけではない。見過ごされがちなシナリオのひとつに、サイバー攻撃を発端とした世界大戦への発展がある。

NATOは条約第5条で集団防衛を定めている。いかなる加盟国への武力攻撃も、NATO全体への攻撃とみなすという内容だ。注目すべきは、ここでいう「武力攻撃」に、サイバー空間での攻撃も含まれるとNATOが表明している点だ。

プーチンお得意のサイバー攻撃を発端として、NATOが総力を挙げて反撃に出る――。このような展開が第3次世界大戦の引き金になるのではないかと、海外紙が懸念を表明している。

戦闘シーン
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NATOの集団自衛権を発動させる法的根拠

改めて条約5条を抜粋すると、次のようになる。全訳ではなく、筆者による抄訳である点をご承知おきいただきたい。

「加盟国は、欧州または北アメリカの一つまたはそれ以上の加盟国に対する武力攻撃を、NATO加盟国全体に対する攻撃とみなすことに同意する。また、これにより、当該の武力攻撃が発生した際に各加盟国は、必要とみなされる場合は速やかに、個別あるいはその他の加盟国と協調する形で、国連憲章51条に規定する個別的あるいは集団的自衛権の行使により、一つまたは複数の当事者国を支援することに同意する。これには、北大西洋地域を復旧し安全を保つ目的での武装兵力の使用を含む」