物価は今後もまだまだ上がるだろう

中国のゼロコロナ政策は世界の供給制約を深刻化させるだろう。また、世界的な石炭不足などエネルギー資源の不足による電力供給不安も食料価格を押し上げる要因だ。

需要面では、中国やインドなどは国内の需要を満たすために食糧備蓄の積み増しを急ぐ。食料やエネルギー資源の不足が深刻化した結果、WFP国連世界食糧計画(国連WFP)はアフリカでの食糧支援を一部削減せざるを得なくなった。米国をはじめ主要先進国のリーダーシップによって世界各国が食料を融通し合うことはかつて経験したことがないほどに難しくなっている。

わが国では、食料価格をはじめ物価の上昇は避けられないだろう。内需が縮小均衡に向かい実質ベースでの経済成長率の停滞懸念が高まっているため、円の先安感は高まりやすい。

超緩和的な金融政策の正常化の遅れが加わることによって、米ドルなどに対する円の減価圧力は増幅される。資源価格上昇と円安圧力の掛け算によって輸入物価は押し上げられる。国内で事業を行っている企業はより強いコストプッシュ圧力に直面する。企業は生き残りをかけて雇用削減などのコストカットを実行しつつ、価格転嫁を進めなければならない。わが国の物価はさらに上昇し、多くの家計にとって生活の苦しさが増大する展開が懸念される。

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