中国で電子マネーが一気に普及した理由

【ひろ】前回は「日本でデジタル化が進まない理由」でした。成毛さんによると、その要因のひとつは、コンビニでジャラジャラと小銭を使って支払う客だと……。

【成毛】そうですね。電子マネーを使えば利便性がいいだけでなく、ポイント還元もついてくる。使わない理由はないはずなのに、それでも現金を使い続ける。そういう思考は「便利になったほうがいい」という欲求がないわけで、デジタル化を阻む原因になります。まあ、だからといって、すべてが悲観的だとは思っていませんけどね。

【ひろ】というと?

【成毛】もちろん、コンビニのレジで待たされるのは腹が立ちますよ(笑)。ただ、「リープフロッグ(一足跳び)」があると思っているんです。中国で電子マネーが急激に進んだのは、紙幣の製造技術が低く、かつ治安が日本ほど良くないからでした。つまり、偽札が横行したり、高額紙幣を持ち歩くのが怖いという理由があった。そのため、スマホを使った決済が急速に広がった。

【ひろ】「電子マネーにしないと怖くてしょうがない」という側面があったわけですね。

【成毛】でも、日本では偽札をつかまされることはまずないし、数万円持ち歩いていても安全。電子マネーに進化する大きなきっかけがなかった。ただ、次のタイミングで、中国のような現象が日本でも起きるんじゃないかと。現金から電子マネーに急速に変わったような僕らの想像を超えることが起こるんじゃないかと思っています。

固定電話のないアフリカではスマホとモバイル決済が一気に普及した

【ひろ】歴史的に見ても日本は「浮世絵」など世界でも珍しい文化をつくっちゃいましたからね。

【成毛】すると、今の世代は負けていても、次の世代で勝てるかもしれない。

【ひろ】ただ、ある程度隔絶されていないと成立しないかもですね。浮世絵って、鎖国していて外国の文化がほとんど入ってこない状況だったから独自の進化を遂げた。今は、なまじ西洋の文化が見えちゃう時代なので。

【成毛】さすが、ひろゆきさん。一発で論破されちゃった(笑)。確かに「隔絶していないと成立しない」というのはいえていますね。

【ひろ】例えば、アフリカなんかでは固定電話の回線が整っていないし、パソコンが先進国みたいに普及していない。でも、安いスマホは多くの人が持っているってことで、モバイル決済やモバイルバンキングが世界に先駆けて普及しましたよね。これもリープフロッグのひとつですが、日本はこうしたインフラもある程度、すでに整っているんですよね。

【成毛】そうですね。僕は、まだガラケーを使っていた時代にベトナムを旅行したら、農家の人が普通に携帯電話を持っていて驚いたんですよ。でも、よく考えたら固定電話の回線が引かれていないから、そうなるのは当然だった。