一方、日本の企業は株価とCEOの収入が見合わないことも多いんじゃないかな? 世界に誇る日本のトヨタだって、社長の報酬は約4億。世界と比較すれば非常に少ないのに、それでも「企業のトップがそんなにお金をもらうなんて!」っていう批判の声は日本では起きがちだよね。日産の旧社長のゴーン氏の時もその声は大きかった。

でも、報酬をもらうことでさらに株価を上げてくれる経営者がいるということが明確にわかっていると、彼らの高い報酬も納得できるし、投資する側として、そういう経営者がいることはある意味安心材料だよね。

経営者たちの欲望に直結していない日本企業の株は判断しにくいところがあるというのが、僕としてはリスク要素に思えてしまうんだ。

それにしたってアメリカは欲望の塊だよね(笑)。でも、この貪欲さがアメリカンドリームの基本だと思うし、これがベースにある限りはアメリカは成長していくと思う。

幾度の不況にも耐えてきた市場の強さ

僕はデータを調べたり比較したりするのがすごく好きなんだ。暇さえあればエクセルをいじっているくらい。これは僕の技術者としてのさがだと思うけれど、投資の上では功を奏している。

アメリカの株を信頼できるもうひとつの理由も、過去のデータを調べて納得したからなんだ。

アメリカの株式市場の全体的な値動きがわかるダウ平均株価が算出され始めた1896年から2020年までのチャートを見てみよう。

世界恐慌、ブラックマンデー、同時多発テロ、リーマン・ショックと過去何度か大きな暴落があったのがわかるだろう。それでもアメリカ市場は復活をして、現在でも右肩上がりの成長を続けているんだ。アメリカ株の一番悲惨な暴落は1929年に起きた世界恐慌で、ウォール街で起きた大暴落を発端に、世界にまで影響を及ぼした。

この時、株価は最高値と比較して、なんと89%も下落。つまり株価が約10分の1まで下がったんだ。この時は暴落前の株価に戻るまで25年もかかったけれど、それでもなんとか回復して、そこから成長を遂げている。

その後も1987年にはブラックマンデーで株価が下落したけれど、約2年後には回復。2001年にはITバブル崩壊、2008年のリーマン・ショックと続いたけれど、世界恐慌に続いて大幅な下落率(51.3%)を記録したリーマン・ショックだって約5年で株価水準を取り戻したんだ。

最近の話でいえば、やっぱりコロナショックだよね。でもこの時も5カ月後には以前の株価水準に戻っている。今もコロナ危機から着実に回復を遂げていて、2021年4月から6月のGDPはコロナ前の水準を上回ったという報告もあるくらいだ。

短い期間を目処に投資を行うと、購入したタイミングによってはリターンが厳しいこともある。でも、暴落があったとしても慌てずに、ドルコスト平均法でコツコツと長期間買い続けて、持ち続けていれば、大きな資産を生み出すことができるんだ。

米国株というよりも、グローバルな株企業の成長を後押しする税制度、CEOたちの報酬制度、何度も起きた暴落からの復活などに加えて、GDPがずっと右肩上がりなど、アメリカの市場の成長・将来性を感じることができる要因はいくつもある。

でも、だからといってアメリカの市場がこれからも必ず成長し続けるとは約束ができない。それが投資だ。それでも僕がVTIをすすめるのは、アメリカの市場全体をカバーする投資法なら極力リスクが少なく利益を得ることができると思うからだ。