人々はグループチャットで戦争に関する自由な意見を交換しているほか、個人のジャーナリストやブロガーなどが匿名でチャンネルを開設し、独自の情報と見解を示している。CEPAによると、あるTelegramのアンケートでは、主な情報入手先としてまずブロガーを頼ると答えた人々は4割弱にも達する。

先進国であれば、ブロガーは独自の興味深い視点を披露する反面、報道の正確性ではマスメディアに一歩劣るというのが一般的な理解といえるだろう。ロシアではこれが逆転し、プロパガンダを流すマスメディアよりもブロガーたちが厚い信頼を獲得している。

CEPAはロシアにおいてTelegramが、単一のアプリとしては「不相応なほどにまで重要な役割」を担っており、「同国において最も人気のあるマスメディア」になっていると指摘する。オープンな議論が限られた現地で、政府の不当な監視の及ばない貴重な場となっている。

強気の国営メディア「ストーンヘンジまで攻める」

一方、プーチンのプロパガンダ戦略を担う国営TVは、相変わらず強気のロシア軍擁護を続けている。「プーチンの代弁者」ともいわれるロシア番組司会者のウラジーミル・ソロヴィヨフ氏は、自身の討論番組において、ロシアは「(イギリスの)ストーンヘンジまで攻める」との持論をぶち上げた。英メトロ紙が報じた

番組には、ウクライナの政治家であるヴァシル・ヴァカロフ氏がゲストとして招かれた。ヴァカロフ氏は、ロシア軍がまもなくドンバス地方のルハンシクおよびドネツクを掌握する見込みだと指摘したうえで、一体どこまで西に軍を進めるのかと質した。

第2次世界大戦の装備で行軍するソ連兵たちの再現写真
写真=iStock.com/bruev
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これに対し司会のソロヴィヨフ氏は激しい口調で、次のように応じている。「どこまで攻めたらやめるのかって? まあ今日の段階でいえることは、おそらくストーンヘンジだろう。(英外相の)リズ・トラスも、自身は戦争に参加している身だと言っている」

デイリー・メール紙はこの発言を、「外務大臣に対する馬鹿げた主張とからかい」だと批判した。プーチンへの痛烈な批判とウクライナへの武器支援を続けるトラス外相は、ロシアのエリート層にとって相当に憎き存在となっているようだ。イギリスに関して同司会者は以前、ロシアが核ミサイルの「ジルコン」を打ち込み、イギリスを「石器時代に戻す」とも発言している。