毎月の出費を抑えるにはどうしたらいいか。公認会計士の金川顕教さんは「むだな保険に入りすぎてお金が貯まらない人が多い。発生確率と損害額を考えると、医療保険や学資保険、外貨建て保険など6つの保険は入る必要がない」という――。

※本稿は、金川顕教『公認会計士が教えるお金の増やし方大全』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。

家庭を守る保険のイメージ
写真=iStock.com/scyther5
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発生率にかかわらず、損害が小さい場合は貯金で対応

ここでは保険の節約について考えていきます。実際、保険に入っている人は多いですが、多くの人がむだな保険に入りすぎていて、お金が貯まらなくなっています。では、どんなときに保険に入ればいいか。「発生確率と損害額」から考えることが大切です。

発生する確率が低く、損害が小さい場合、それから発生確率は高いが、損害が小さい場合、この場合は貯金でOKです。入るべき保険は「発生する確率が低く、損害が大きい場合」です。一方、発生確率が高く、損害が大きいものには近寄ってはいけません。

そもそも保険とは、みんなで少しずつお金を出し合って、運悪くトラブルに遭った少数の人にお金を渡す仕組です。ですから高確率で発生するリスクは、保険金をもらう人が多くなるため、保険としての仕組が成り立たないということです。そういう意味で、入らなくていい保険No.1は医療保険です。がん保険、学資保険、積立型生命保険・養老保険、外貨建て保険、ペット保険、これらも入る必要はありません。

40歳男性が死亡すると1億5000万円超の損害に

そして入るべき保険は「生命保険」「火災保険」「自動車保険」の3つです。なぜなら発生する確率は低く、損害が大きいからです。

生命保険文化センターの調査によると、40歳男性の死亡率は0.093%ですが、亡くなると数千万円から数億円の損害が出ます。また自動車事故で人を死なせてしまう確率や、火災の発生確率はかなり低いのですが、人を死なせてしまったり、家が燃えてしまったりすると、数千万円から数億円の規模の損害があります。もちろん住宅価格や周囲の損害額で変わってきますが、低確率、損害大であることには違いありません。

入るべき3つの保険の1つである「生命保険」から説明していきます。生命保険とは、死亡あるいは高度障害状態になったときに保険金が受けとれる定期保険のことです。10年間、20年間と年満期か、60歳、70歳と歳満期で決めるケースがあります。

なぜ生命保険が必要か。繰り返すようですが、発生の確率は低く、発生すると損害が大だからです。たとえば40歳男性が亡くなる可能性は0.093%と低確率。しかし40歳で死亡すると、65歳までに25年間。dodaエージェントサービスの調査によると、2021年の40歳から65歳までの男性の平均年収は約614万円ですから、25年×614万円=1億5350万円に。

特に家族がいる場合は、これだけの収入がなくなると困ります。家族の人生が狂ってしまうこともあるので、生命保険に入ったほうがいい典型例といえるでしょう。