高齢者の就業率が高い県は平均寿命も長くなることが知られている。なぜなのか。医師の和田秀樹さんは「お金のことをあまり重視せずに仕事を選ぶことができるのは、リタイア世代の特権。自由に働ける喜びと、そのことで誰かに喜びをもたらすことのできる幸せを、存分に味わえるから、健康で長寿になるのだろう」という――。

※本稿は、和田秀樹『老いの品格 品よく、賢く、おもしろく』(PHP新書)の一部を再編集したものです。

パソコンを操作する高齢者
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どれだけお金があっても、ケチには人が寄ってこない

若いうちは、お金の力を実感できる場面は多々あります。単純に欲しいものが手に入るだけでなく、「お金がある」ことそのものが魅力となって、人を引き寄せます。

でも、歳をとると、お金があるからといって必ずしも人が寄ってくるわけではありません。歳をとっても人が寄ってくるのは、話がおもしろいとか、人としてどこか見習う点があるなど、周囲からすてきだと思われているような人です。

どれだけお金があっても、ケチだと思われたら、人は寄ってこなくなります。出資を頼もうとする人も、相手がケチでお金を出さないとわかれば近寄らなくなりますが、歳をとっても気前よく出資してくれる人のところには集まってきます。

そもそも、お金のにおいをかぎつけて寄ってくる人は、タチがいいとはいえません。一般的に、判断力が低下していると見なされている高齢者のもとに、お金があるというだけで近寄ってくる人がいるとすれば、それはほぼ例外なく詐欺師です。その被害にあって、みすみす損をするというケースは少なくありません。