脳があなたの可能性を限定する

私は、脳内に存在する境界線を越えるのを阻む、こうした無意識の働きを「ブレインロック」と呼んでいます。

勝間和代『できないのはあなたのせいじゃない』(プレジデント社)
勝間和代『できないのはあなたのせいじゃない』(プレジデント社)

たとえば「投資は危険」というブレインロックがあるために、先に挙げたデータのような実際の情報を読み取り、理解し、安全な範囲でチャレンジしてみるという行動がとれなくなってしまうのです。

対して、インデックス投資を始めたグループは、そのような根拠の薄いブレインロックがかかっていなかったために、私の話を聞いたあと、ほかの書籍やインターネット上にある情報を集め、ほかの人の話も参考に聞いて回るという行動をとりました。

その結果、「この程度のリスクで済むなら自分にも安全な形で投資ができる」と判断し、投資をスタートして資産を積み上げることができたのです。

重要な機会を損失する事態に

ブレインロックとしてありがちな例に、次のようなものがあります。

「勉強をしないとよい大学に入れないし、よい会社にも入れない」
「大人は結婚して一人前、結婚したら子どもを作るのが当たり前」
「女の子は女らしく、男の子は男らしく」
「起業は危険。会社に勤めたほうが安全だ」
「持ち家がないと一人前とはいえない」
「生命保険はできるだけ入っておいたほうが家族のため」
「嫌なことも我慢して頑張るのが一人前の社会人」
「一度決めたことは最後まで変えずにやり通すべき」

挙げればきりがありませんが、誰もが家庭や社会の中で、日常的に浴びてきた言葉ではないでしょうか。

そして、ブレインロックにかかっていると、どんなに優秀な人でも、人格的に優れた人でも、あっさりとパフォーマンスを落としたり、不合理な判断をしたり、重要な機会を損失したりしてしまいます

先のインデックス投資がなかなかできない人はその典型的な例ですが、ほかにも、うつ病になるまで働いたり、住宅ローンが苦しくてギリギリまで切り詰めた生活を送っていたり、モラハラやパワハラをしてくる人とも我慢して付き合い続けたり……枚挙にいとまがありません。