ABCD包囲網での団結

現在、欧米諸国や日本は厳しい経済制裁をロシアに科している。「それは兵器生産に打撃を与える上では有効に働いているが、他方で、ロシア側のシナリオに合致している側面もある」と池田准教授は言い、こう続ける。

「われわれは外部から攻められている被害者、だから頑張らなければならない、と」

それはかつて日本が“ABCD”包囲網、つまり米英中蘭の4カ国によって経済封鎖されていたときの状況とも重なって見えると池田准教授は指摘する。

「もともとロシアには豊かさを享受している人が少ない。むしろ、日ごろからつらいことに慣れている人たちですから、経済制裁で生活が苦しくなっても耐えてしまう。子どもが兵隊にとられ、戦場で亡くなるとか、理不尽なことが積み重なっても全国民的な反発はなかなか湧き起こらないでしょう。一方、ウクライナや欧米諸国はロシアの侵略を到底許すことはできない。この戦争はどう終わるのか、ほんとうに先が見えません」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

当記事は「AERA dot.」からの転載記事です。AERA dot.は『AERA』『週刊朝日』に掲載された話題を、分かりやすくまとめた記事をメインコンテンツにしています。元記事はこちら
【関連記事】
1230kmのパイプラインも作ったが…ロシア依存だったドイツが超強気に急変した本当の理由
「制裁の影響でロシア人は妄想の世界に入り始めている」佐藤優が教える「危なすぎる兆候」
「プーチンは何も諦めていない」佐藤優が明かす「ロシアが狙うウクライナの急所」
「餓死者の肉がマーケットで売られた過去」ウクライナの人々が"プーチン戦争"に抵抗し続ける根本理由
すでに十数回の大統領暗殺を阻止…プーチンをイラつかせるイギリス特殊部隊「SAS」の仕事ぶり