「家と家とのお付き合い」が招いた離婚
「結婚は家と家とのお付き合い」という言葉がある。夫婦になる本人同士だけでなく、お互いの親をはじめとする親族まで含めて家同士のつながりができるのが結婚という制度、ということを意味する。
ところが皮肉なことに、その「家と家とのお付き合い」が原因で離婚にいたるケースもある。「夫婦2人だけの問題だったらなんとか修復できたはず」と後悔をにじませる夫婦の実例を紹介しよう。
※プライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。
【CASE1】エリート一家による子育てのプレッシャーから離婚したケース
地元の不動産会社で働きながら、公立高校に通う息子と2人暮らしをしているR美さん(44歳)が、5歳年下の夫と離婚したのは10年前。離婚の経緯は、「夫の両親との折り合いが悪く、そのうち夫とも関係が悪化した」とのこと。
もともと義両親は、自分の息子の結婚相手がR美さんだったことに納得していたわけではない。当時研修医だった彼はやがて実家の病院を継ぐことになっていたこともあり、「病院経営に明るく、家柄だってふさわしい良縁はたくさんあるのに、なぜそんな女性を選ぶのか?」などと、R美さんへの不満をあからさまに示していたという。「研修先の病院の食堂でアルバイトをしていた私と知り合ってまもなく、妊娠がわかって彼の実家報告に行った時、義両親は2人とも隠しきれないほどガッカリしていた」。
「孫を跡取りにする」と息巻く義両親、親族は全員高学歴…
子供が生まれてからは、R美さんに新たな悩みが加わった。子育てに関して、義両親が毎日のように口を出してくるようになったからだった。「夫の兄弟や親族は全員、高学歴。医師も多く、『孫を跡取りにするには、早いうちから一流の教育を受けさせなければ』と持論を押しつけてくる義両親。私が『子供の個性を生かして伸び伸び育ってくれればいいと思っている』と反論しても、『学歴が低いと社会に出てから困るということは、あなたが一番わかっているでしょう?』と真顔で諭されたこともあった」と振り返る。
そんな義両親に対する不満をぶつけても、「親の言うことも一理あると思う」とR美さんの意見に耳を貸そうともしない夫にも猛烈に腹が立ったという。「義両親への怒りが年月をかけて夫への憎しみに変わっていき、子供が小学生になる頃には取り返しのつかないところまで夫婦関係が悪化していた」。