橋下 そうなんですよ。民主党政権が自公政権のときと違うのは、大臣が自分の言葉で話していることです。自公政権のときは、全部官僚がつくったペーパーの単なる読み上げでしたから。中川大臣は「橋下さんが言われることはわかります。法律がおかしいんです。だからこの法律を変えるような議論をしていく」とおっしゃった。
知事や市町村長が教育目標を決められないなんて、こんなバカな国はないですよ。政治的に踏み込んではいけない部分、それは当然どこかで制限をかけなければいけない。でも、北朝鮮のように僕の肖像画を「掲げろ」とか、「将軍様と呼べ」というのはダメですが、教育の目標を定めるというのは政治家の主義主張の一番大切な役割だと思うのですよ。
大前 これからの時代は、人材が勝負です。産業基盤を充実させて産業を興し、雇用を創出するのが道州の役割だとすれば、それぞれの殖産興業に必要な人材は、それぞれの道州が責任を持って育成しなければならない。ところが国は地方の手足を縛って、北海道から沖縄まで同じ一律の人材を生み出す教育を押しつけている。その結果が今の日本の状況です。なぜ大学を出て就職できない学生が4割もいるのか、なぜ日本の人材競争力が世界的に大きく落ち込んできたのか。「人材育成に国が責任を持つというなら、結果を出していない文科省は責任を取れ」と言いたい。
橋下 本当ですよ。口ばっかり出して、現場のことを何もわかってない。今の日本のありとあらゆる領域は、民主主義の名の下に「決定できない」「決定してないから責任を取らない」という枠組み・仕組みになっている。知事や市町村長の仕事もそうですし、教育行政も誰が責任を取っているのかわからないような仕組みになっている。僕はこうしたおかしな仕組みを変えて、「決定できる民主主義、責任を取る民主主義」にしたいのです。
大前 その代わり、4年に一度評価される。
橋下 そうです。今回、僕は大阪の成長戦略の一番目に人材育成を掲げているんです。
※すべて雑誌掲載当時