ナポレオン1世率いるヨーロッパ連合軍が帝政ロシアに侵攻した「ロシア遠征」は、世界史においてどういう意味を持つのか。当時の世界情勢の推移を、『バトルマンガで歴史が超わかる本』(飛鳥新社)より紹介する――。(第2回)

フランス領コルシカ島に生まれたナポレオン

登場人物紹介
【小太郎】ごくフツーの中学生
【つきじい】偉大な歴史家トゥキディデスの生まれ変わり

【つきじい】小太郎くん、この絵を見たことがあるかな?

ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト
(作者=ジャック=ルイ・ダヴィッド/CC-PD-Mark/Wikimedia Commons

【小太郎】かっこいい。誰だっけ?

【つきじい】ナポレオン・ボナパルト。フランスの軍人じゃ。

【小太郎】何をした人ですか?

【つきじい】地中海のコルシカという島の、貴族の家に生まれた。コルシカ島は、フランスの植民地みたいなもので、住民はイタリア人じゃ。

【小太郎】じゃあ、ナポレオンもフランス人じゃないんですね?

【つきじい】そう。だから少年時代から、「フランス王はコルシカの敵だ」と教わっていた。しかしフランスは大国で強い。どうすれば勝てるか?

【つきじい】ナポレオン少年は考えた。「フランス軍に入り、フランスの戦い方を学ぼう!」

【小太郎】おおっ!

若きナポレオンが得意としていた“ある学科”

【つきじい】10歳のナポレオンは、フランスに渡って陸軍学校に入った。コルシカの方言をバカにされてくやしい思いをしたが、数学の成績が抜群によかった。軍隊で数学は必要だからな。

【小太郎】えっ? 何に使うんですか?

【つきじい】大砲じゃ。何キロも離れた標的に大砲の玉を当てるにはどうすればいい?

【小太郎】適当に撃ってるんじゃないんですか?

【つきじい】いやいや、ちゃんと砲弾の軌道を計算して、角度を調整するのじゃ。そのとき計算間違いすると、絶対に当たらない。大砲を撃つ兵士を砲兵という。ナポレオンは砲兵の才能があったのじゃ。

【小太郎】ぼくも数学、頑張ります!

全ヨーロッパにフランス革命の思想を広げる

【つきじい】フランス革命が始まると、ナポレオンは革命軍に参加した。ちょうど、外国の軍隊が次々に攻め込んできたときじゃ。

【小太郎】国民軍と傭兵の戦いですね!