自分の好きや得意をベースとして、そこから広げていく

脳細胞は一つ一つが決まった役割を担っています。そして、役割の似通った同士が集まって存在しています。私はこれを「脳番地」と呼んで分類し、MRI(磁気共鳴画像診断)で脳の使われ方を見る、という研究をしてきました。

例えば「英語を聞く」とは、ただ単に音が聞こえているのではありません。聴覚系脳番地と記憶系脳番地と理解系脳番地にある脳細胞が互いに連携することで、言語として認識・理解しているのです。日常的によく使われる脳番地の経路は太く広くなっており、高速でスムーズに処理されます。逆に、普段あまり使われない経路は細くて狭く、処理に時間と労力を使います。「英語脳をつくる」とはすなわち、英語を処理する経路を新設し、拡張していく作業にほかなりません。

モデル脳
写真=iStock.com/RapidEye
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さて、脳の使われ方には人それぞれにクセがあります。得意/不得意と言い換えてもいいでしょう。大人の脳はある意味出来上がっているので、何かにつけて自分の得意な経路で処理しようとするのですが、脳の伸びしろはこれまで使っていなかった部分にあります。とはいえ、不得意から入ってそこばかりを使おうとするのは、脳にとって負担でしかありませんから長続きもしないのです。

では、どうするか。自分の好きや得意をベースとして、そこから広げていくことです。脳は嗜好(好き嫌い)の影響を大きく受けます。誰しも好きなことや心地よいことは時間を忘れて打ち込めますが、嫌なことや、やらされ感のある作業はすぐに飽きてやめたくなってしまうでしょう。これは脳の仕組みがそうなっているからです。

一方で、英語習得のために、やってはいけない「悪習慣」があります。その悪習慣7つを見ていきましょう。