関連予算も少ない。米国は07年度から10年度にかけて約9割の増額だが、日本は逆に4割の減額。総額では米国のわずか13%だ。

法制度に関しても、日本は「丸腰」に近い。現行法では、ハッカーと同じ手順で攻撃元を辿る行為は「不正侵入」になる。合法的に調べるには、国際機関や各国当局への照会を繰り返す必要がある。また現地警察の協力が得られず、進展しないケースもある。サイバーディフェンス研究所の福森氏はいう。

「捜査が進まないのは、おそらく国家機関などが攻撃元だからです。サイバー犯罪には国際的な法制度がない。このため諸外国では不正侵入には不正侵入で対抗しています。各国のサイバー軍も、その流れにあるものです」

ラックの西本逸郎氏は「日本は海外のハッカーに舐められている」と憤る。

「現行の法制度では、追跡調査もままなりません。政府には攻撃者の先手を打つような調査に取り組んでほしい。残念ながら、そのための議論すら行われたことがないのが現状です」

※すべて雑誌掲載当時

(門間新弥=撮影)