以前と比べて柔軟にとらえられているのが、「異性と間違えられる」という改名理由だ。この理由はもともと、「ひかる」や「ひろみ」など男女どちらでも使われる名前の変更を想定したものだった。しかし性同一性障害が社会的に広く認知されるにつれて、本人が自覚する性別と名前が示す性別が食い違う場合も改名が認められやすくなってきた。

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改名の「正当な事由」とは?

「通称の永年使用」は、使用実績に即して判断される。通称でやり取りしている年賀状や、職場や学校で通称を長期にわたり使用してきたことがわかる証拠が揃っていると、改名が認められやすい。明確な基準はないが、一般的には5~10年の使用実績が目安といわれている。

残念ながら最高裁民事部長回答では、姓名判断について言及がない。やはり画数が悪いという程度では認められないのか。國部弁護士の見解はこうだ。

「画数のよし悪しについて、社会的に共通な認識があれば改名の正当な事由になりうるかもしれません。しかしいまのところ、誰もが納得するような基準はない。姓名判断だけでは、おそらく正当な事由として認められないでしょう」

ただ、抜け道がないわけではない。姓名判断にしたがって12歳から通称を使い始め、16年にわたってその名で生活していた人が、すでに通称が社会一般に認識されているとして改名を許可された判例があるのだ。

「裁判所は動機や必要性だけでなく、変更を認めないことで生じる社会的な不都合を考慮して適否を審査します。動機だけでは正当な理由と認められなくても、戸籍名を使用することで社会生活上の不都合が生じるなら、改名が認められる可能性はある」(同)

通称を使い続ければ必ず改名できるという保証はない。しかし本気で改名を望むなら、選択肢の一つに入れてもいいのかもしれない。