日本の幸福度はタイやニカラグアより低い
先進諸外国と比較してもっとも隔たりがある分野のひとつは、幸福感についての認識でしょう。国連が毎年行っている、世界幸福度ランキングにおいて、日本は常にランキングの下位に位置しています。
2021年版における日本のランキングは56位となっており、ドイツ(13位)、英国(17位)、米国(19位)などと比較するとかなり低い位置であることが分かります。ちなみに1位となったのはフィンランド、2位はデンマーク、3位はスイスでした(図表1)。
幸福度ランキングで日本はズルズルと順位を下げている
単年だけでは何とも言えない部分がありますが、2020年における日本のランキングは62位、2019年のランキングは58位でした。5年前の2016年は53位、同一形式でのランキングが始まった2013年は43位でしたから、下位であることは変わらず、順位自体はむしろ下がっています(図表2)。
ちなみに最下位はアフガニスタン(149位)ですから、日本の下にはまだたくさんの国があります。しかしながら、日本よりも順位が下の国の中に、いわゆる先進国と呼ばれる国はほとんど存在しませんし、多くの主要先進国が上位にランキングされていますから、日本の立ち位置が特殊であることはほぼ間違いありません。
では、このランキングはどのようにして算定されているのでしょうか。基本的には、各国の国民に対して現在の生活に満足しているのかを尋ね、その結果を数値化したものと考えて差し支えありません。
より具体的に説明すると、米国の社会心理学者ハドレー・キャントリルが考案した「キャントリルの梯子」と呼ばれる手法が用いられています。
これは考え得る最良の生活を10、最悪の生活を0とした合計11段階の梯子の中で、自分は今どこにいるのか回答してもらうというものです。自分がどう思うのかを聞く質問なので、自分が幸福だと感じる人が多ければ必然的にランキングは上がります。
また、得られた結果に対して、1人あたりのGDP(国内総生産)、社会的支援、健康寿命、人生の自由度、寛容さ、政府や社会に対する信頼度(腐敗の認識)などが、どう影響しているのかについても分析しています。これによって、どの項目が幸福度と相関性が高いのかが分かるという仕組みです。
繰り返しになりますが、この調査のポイントは、本人がどう感じているかです。