「食事が貧相過ぎて言葉が出ません」
こう訴えるのは、2月に新型コロナウイルスに感染し、大阪市内のホテルで1週間、宿泊療養した50歳代の男性、Aさんだ。貧相すぎると訴えるのは、ホテルで出される朝昼晩の食事の中身だ。
大阪府は2月17日に1日あたりの死者数54人とこれまで2番目の多さを記録。ちなみに東京都の死者数は同じ日で24人で、大阪府の数字がいかに、突出しているかよくわかる。医療体制がひっ迫している大阪府では、宿泊療養者から食事などの苦情が続出している。
Aさんによれば、宿泊療養の1日のスケジュールは、ホテル内のアナウンスで知らされるという。
毎朝6時と7時に2度、「朝食、検温、スマートフォンでハーシス(HER-SYS/厚生労働省の新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム)に入力してください」というアナウンスがホテル内で流れ、1日がはじまる。
そして療養者は自らエレベーターで1階に降りて朝食を取りに行く。朝9時にも再度、ハーシスに入力。昼11時半に昼食。午後4時には検温とまたハーシス入力で、午後6時に夕食となる。
「コロナに感染して療養のためにホテルにきているのに、ホテル内のアナウンスがすごい大音量でした。寝不足になり、身体にこたえた。何のための療養なのか」
Aさんはこう振り返る。さらに問題は食事の内容だ。Aさんは報道などで国が宿泊療養者のために1食あたり1500円相当を負担していることを知っていた。だが、はじめて療養所の朝食を見て驚いた。それ以降、入院中は食事をスマートフォンで毎日、撮影したという。
「朝食は毎日、同じメーカーのパンとジュースです。味はまったく代わり映えしないです。夕食だけは宿泊療養を開始するときに魚野菜系か肉系か、2つのメニューから選べます。最初に選ぶと途中から変更は不可。食事はアナウンスから2時間以内に取りに来いという制限がある。その際、エレベーターに宿泊療養者が集まるので、密になります」